直腸診を行うことで医師への信頼感向上も

血液検査が完璧だというわけではない。偽陽性の問題もあり、前立腺癌の血液スクリーニング検査によって得られる利益は、過剰診断(治療しなくても余命に関係のない癌まで見つけてしまうこと)のリスクを上回るのかと近年、激しい議論にもなった。

米予防医療対策委員会は現在、55〜70歳の男性は前立腺癌の検査を受けるべきかどうかについて、まずは主治医と話し合ってほしいという立場を取っている。そして検査を受ける場合は直腸診ではなく血液検査が推奨されている。私が取材した医師たちも、知り合いの一般開業医で最初の検査に直腸診を用いる人はほとんどいないと口をそろえる。

とはいえ、直腸診が完全に絶滅したわけではない。私の主治医のクリニックでも、若い頃に直腸診で前立腺癌を見つけたことがあり、今も続けている医師がいるという。

かなり以前から血液検査を採用してきたストーンでさえ、50歳以上の男性に対しては今も健康診断の一環として直腸診を行っている。「私は昔かたぎの医者なんだ」と、彼は言う。「これをやっておけば完璧だという気がする」

嫌がられることの多い直腸診をあえてやることで、逆に患者からの信頼感向上につながる効果もあるのだそうだ。

一方で、ストーンの主治医は健康診断の際に直腸診は行わないという。だからといって「『あれ? 直腸診は?』なんて自分から言ったりはしない」そうだが。

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