SNSという民間企業がモデレートを実施することの矛盾があるだけに、透明性を担保するルールづくりはとりわけ重要であり、「自由でオープンなグローバルインターネットを蝕んではいけない」と締めている。

それに続いて突然ビットコインに触れ、「私がビットコインに対して大きな情熱を感じているのは、特定の個人や団体による制御または影響を受けない基礎を成すインターネットテクノロジーを実現しているからだ。これこそがインターネットが目指すべき道であり、時間の経過とともに、より浸透していくだろう」と書いている。

トランプのアカウント閉鎖の話がなぜ仮想通貨に飛ぶのか、一般の人には唐突の感が否めないだろうが、ドーシーはビットコインが自律分散型組織(DAO=Distributed Autonomous Organization)によって運営機能している点を指していると思われる。DAOでは運営は自動化され参加者が民間運営企業を介さずに参加できる。

「われわれは、ソーシャルメディアのオープンな分散型標準に関するイニシアチブに出資することで役割を果たそうとしている。われわれの目標は、インターネットの公共的な会話の標準クライアントになることだ」

最終的には、1つの民間企業が独占するのではない万人が参加できる分散SNSの技術仕様(プロトコル)の開発を目指すため2019年に立ち上げた独立組織ブルー・スカイに触れてメッセージは終わる。

テックによる解決策に過度の期待は禁物

ジャック・ドーシーは、今回の判断は苦渋の決断で、それはSNS自らを傷つけるものだとし、オープンなインターネット空間を守るためにはプラットフォーマーが支配することには限界があるということを認めた。その点では、純粋に技術の力で人々のつながりによる平和を生み出すインターネットカンパニーの原点に戻ったかのように見える。

ただし、プラットフォームに代わる新しい技術仕様(プロトコル)の開発によって問題を解決しようとするツイッターの姿勢はエンジニアのブラックボックスに戻って、別の形で影響力と自由度を残すしたたかな戦略かもしれない。

ジャック・ドーシーは少年の頃からの天才エンジニアだ。神でも、倫理学者でもない。彼が、新しい自律分散テクノロジーのプロトコルで解決策を模索するのは自由だが、今後よほど注意深く見守る必要がある。

情報濁流の時代の表現の自由を誰がどう守るのか

アメリカの議事堂襲撃事件のニュースを聞いた中国共産党機関紙「人民日報」傘下にある「環球時報」の電子版「環球網」は1月7日に皮肉たっぷりな社説を載せている

曰く議会襲撃は香港の民主活動家が香港政庁を攻撃した騒動とどう違うのか。香港の暴徒は民衆の英雄で、今回のトランプ支持者は英雄ではなく暴徒なのかと。

自信を深める中国