<入管、政府の責任が問われている彼女の死に対し、根拠のない「詐病」をほのめかした問題発言。被害者や弱者の側に「悪意」「嘘」を見いだすのは、ありふれたやり口でもある>
「善かれと思った支援者の一言が、皮肉にも、ウィシュマさんに、病気になれば仮釈放してもらえるという淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できません」
政府が提出した入管法改正案についての国会審議で、日本維新の会の梅村みずほ参議院議員はこう発言した。
まず発言自体の問題を指摘しておく。梅村氏は、適切な医療へのアクセスを絶たれ、名古屋入管の収容施設で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんが「詐病を企てた可能性」をほのめかしたと言える。
つまり、入管、政府の責任が問われている彼女の死に対し、むしろ亡くなった本人、あるいは支援者に責任があるのではと示唆しているわけだ。根拠もなく、極めて悪質な責任転嫁である。
梅村氏はこの国会質問の原稿を準備する上で、「自らを死に至らしめるほどの詐病」などというものがあり得ると本当に考えたのだろうか。ほんの少しも疑問を抱かなかったのだろうか。元も子もないとはまさにこのことだ。
その日、参議院の傍聴席にはウィシュマさんの遺族や支援者もいたという。何重にも冒瀆的な発言だと言わざるを得ない。
また、梅村氏が用いた「仮釈放」という言葉についても念のため言及しておく。ウィシュマさんのように、在留資格がなく入管施設に収容された外国人に対してなされるのは「仮放免」であり、刑事施設の受刑者に対して許可される仮釈放ではない。
それにもかかわらず、あえて「仮釈放」を用いるのは、ウィシュマさんやほかの被収容者があたかも受刑者であるかのような誤解を呼び込み、不適切だ。あるいは、こうした基本的な違いすら理解せぬまま、あれほど攻撃的かつ誤りに満ちた発言を堂々としたのだろうか。
私が今回の梅村氏の発言を知り想起したのは、氏がたびたび「虚偽DV」という言葉を用いながら、「本当はDVなどなかったのに、DVがあったと嘘をつく人がいる」という問題を提起してきた人物であることだ。
3月の法務委員会でも、齋藤健法務大臣に「虚偽のDVを訴えるケースがあるのは把握していらっしゃいますでしょうか」と質問している。