しかし、この定型を覆したのが2008年のCS放送局(当時)日本文化チャンネル桜を発起とした映画『南京の真実』製作運動である。これは読んで字の如く、1937年の所謂「南京事件(南京虐殺)」は主に中国側(および所謂"コミンテルン"などの共産主義者)の捏造であった、とする旨のオピニオンを映画という形で製作する運動で、故・渡部昇一氏や櫻井よしこ氏など、保守界隈を代表する論客らが共同記者会見を行い、その制作費の寄付を全国の保守層に呼び掛けたものである。

結果、目標とした寄付額(約2億6000万円)が早期に集まり同映画は2008年に第一部として公開された(―この映画の構想は全三部作で、第一部の題名は『七人の死刑囚』、第三部である『支那事変と中国共産党』は2017年に公開された)。

この『南京の真実』制作に一定程度の成功を見た保守界隈は、次に集団訴訟という政治的運動への活路を見出した。2010年にNHKで報道されたドキュメント番組『ジャパンデビュー』に於いて、「当時日本に統治されていた台湾の少数民族(パイワン族)の名誉を傷つけ、一方的に日本の台湾統治時代を悪と決めつけている」として、保守界隈はNHKを被告とした集団訴訟に踏み切ったのである。

訴訟の主体になった日本文化チャンネル桜は同番組で大々的な集団訴訟への原告参加や裁判費用の寄付を呼びかけ、最終的に原告団は約1万300人にのぼった。所謂『NHK・ジャパンデビュー集団訴訟』である。

この裁判は当時、保守界隈始まって以来の大規模な政治的運動であった。すでにネット動画の世界に大きな影響力を持った日本文化チャンネル桜は、その視聴者の大部分を占めるネット右翼に訴求し、一大運動となった。

結果、第一審の東京地裁では原告が敗訴したものの、第二審の東京高裁では原告が逆転勝訴した。しかし第三審の最高裁判所では原告の請求を棄却し、最高裁判所第一小法廷は、


「一般の視聴者は、日本が先住民族を差別的に取り扱ったという事実を提示した番組と理解するのが通常だ。原告の父親が動物園の動物と同じように扱われるべき者とは受け止めないので、名誉毀損は成立しない」(名誉毀損訴訟、NHK逆転勝訴=台湾統治検証番組で-最高裁,2016.1.21,時事通信,強調筆者)

とされ、あっけなく原告敗訴が確定して敗北に終わった

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保守界隈はこれにめげることなく、二度目の集団訴訟に踏み切った。

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