<バイデン元副大統領が自らの大統領選挙のランニングパートナーとして、「カマラ・ハリス」上院議員を選択した。筆者は「バイデン陣営の慢心」がもたらした選択と見ている...... >

バイデン元副大統領が自らの大統領選挙のランニングパートナーとして、「カマラ・ハリス」上院議員を選択した。同人事が発表されて以来、メディアでは初の黒人女性副大統領候補者として持ち上げる報道ばかりだ。

一見するとハリスという選択がバイデン陣営に勢いをもたらすかのように錯覚してしまうが、筆者はこの選択は「可もなく不可もない」選択、むしろ「バイデン陣営の慢心」がもたらした選択と見ている。

カマラ・ハリスの強みとは

カマラ・ハリスが選ばれた理由のメインは、彼女のアイデンティティによるものだろう。インド系・ジャマイカ系のハーフであり、2016年大統領選挙でヒラリーが黒人からの票を失って敗北したことに対する反省が生かされている。また、バイデンの女性スキャンダルを打ち消すためにも女性副大統領候補者は絶対条件であった。そして、彼女のカリフォルニア州司法長の経験は、現在の黒人殺害事件に対する抗議運動に端を発する混乱状況を収拾するための警察改革の面からも注目されるキャリアだ。

しかし、率直に言って、カマラ・ハリスの強みとはこの程度のものであり、2020年大統領選挙を乗り切るため、必要な最低限の素養を持った人物であるに過ぎない。民主党が当初想定していた候補者条件のラインをクリアする選択ではあるものの、彼女の共和党側に大きく切り込む力や左派を強烈に動員できる力には疑問符がつく。

カマラ・ハリス自体は前述の通り黒人ではあるものの、父は大学の経済学者、母はがんの研究者であり、エスタブリッシュメントの家庭の生まれだ。そして、その夫もユダヤ系の裕福な弁護士である。投票履歴などは民主党リベラルに忠実な履歴は持つものの、左派系からのカリスマ的な支持を集められる人物ではない。

また、上院議員経験はあるものの、任期1期目の途上に過ぎず、外交・安全保障に関する知見が十分にあるわけでもない。仮にバイデンが何らかの形で大統領職を退く場合になった際、その職務を代行できる能力が十分にあると証明できておらず、副大統領の職を任せるのは明らかに過剰評価だろう。その明快なキャラクターは切れ味はあるかもしれないが、見方によってはヒラリーと同じ嫌味が漂うところもある。

現在の優勢と党内事情を両立させる守りの選択を選んだ

バイデンが幾多の有色人種候補者の中からハリスを選んだのは、それが党内の雰囲気として政治的に無理をせずに選べる候補者だったからだろう。実際、バイデン選対の幹部にも予備選終了直後から元ハリス選対幹部が加わっていたことからもあり、カマラ・ハリス副大統領候補者推しは一定のコンセンサスがあったように目されている。

トランプ陣営にとっては対抗策が定まった