もっとも手軽に動画配信をすることが出来るのはスマホを利用し、ユーチューブを通じてライブで講義を配信するという方式だが、ここでも大混乱に陥っている講義が散見された。
字幕を入れたり、資料を映したりすることができないというような技術的問題よりはるかに前の問題として、他学科、他校の学生や、あるいは一般人までもが乱入しイタズラを仕掛けたりして講義を妨害するようなケースが少なくないのだ。本来50名程度が出席する科目に800名以上の視聴者が集まり、講義に関する質問を受け付けるためのチャット機能で「きれいな女教授に変えてくれよ」、「ハンサムですね」といった冗談を繰り返したり、質問を受け付けるために公開した研究室の電話番号にいたずら電話を掛けた人も一人二人ではなかった。
在学生以外の参加を防ぐため、学校が運営するサイト内で、認証されている学生たちだけがアクセスできるようにした学校もあったが、接続者が同時に殺到したためにサーバーが麻痺しアクセスさえもできない事故が発生するなど混乱は続いている。スマートフォンやインターネットの普及率だけを考えれば、素晴らしいアイデアのように見えるオンライン講義だが、下準備もなしにスタートした結果、現場はいくつもの壁に全力でぶち当たる日々が続いている。
「学費を返せ」・・・学生たちの不満
突然のオンライン講義に振り回されているのは大学と、その教員たちだけではない。春の訪れとともに楽しい大学生活が始まると期待していた新入生、そしてもちろん新学期を待っていた在校生たちの不満も高まっている。オンライン講義に当初ある程度の混乱が生じるのは仕方ないとしても、「放送大学と何ら変わらないオンライン講義しかしないのであれば授業料を安くすべきじゃないのか?」という不満が続出しているのだ。
例えば、韓国を代表する私立大学の一つ、高麗大学の1年間の授業料は約826万ウォンだが、同大学のサイバー大学コース「高麗サイバー大学」の年間授業料は約226万ウォンと27%程度の価格だ。最初からオンライン講義中心のサイバー大学の場合、一度撮影した講義を繰り返し使うことが出来るし、大学の教室をはじめその他の施設の利用が少ないため、当然、一般の大学よりも授業料が安く設定することができるのだ。だが、大学側の事情はともかく、キャンパスライフを満喫できないサイバー大学と同じ条件なら、学費も同じように安くしてくれという学生たちの主張も理解できなくはない。
日本の場合、早稲田大学が授業開始時期を2週間延期するという発表があったが、今のところ他の多くの大学はコロナ感染症の情勢を慎重に見守り対策を練っているようにみえる。授業開始時期を延期したとしても、その分、夏休みの開始を遅らせるなど幾つかの対応方法が考え得ると思うが、安易な「オンライン講義」の導入は、混乱と不満を招くだけであることを韓国の例を反面教師として学べるかも知れない。