<コンサルタントがどんなに頑張っても、「空気」が悪ければ組織改革など進まない。悪貨は良貨を駆逐するからだ>

私は現場に入って、企業の目標を絶対達成させるコンサルタントです。「前よりもよくなった」を求める企業ならともかく、事業計画を絶対達成させたいと願う企業と契約していますから、私たちコンサルタントも、企業側も、それ相応の覚悟をもってプロジェクトに臨みます。

最初は双方「やってやるぞ!」という高揚感に包まれ、プロジェクトはスタートするのですが、残念ながら、現場では予期せぬ問題が浮き彫りになってくるものです。

その最たるものが「空気」です。いわゆる組織風土。

組織風土は、人の価値基準を決定付ける重要な要素。特定の脳の神経細胞(俗称:ミラーニューロン)が原因で、人は近くにいる人の言動のみならず思考までも無意識にモデリングします。良くも悪くも私たちは、周囲の人たち、そして空気に「感化」されていく生き物だからです。

つまり、外面(そとづら)はよくても、悪い空気が蔓延している企業に就職すると、どんなに抵抗しても組織の「空気」に感化されていく、ということです。

私ども外部のコンサルタントが現場に入って一番戸惑うのは、想定を超えるほど淀んだ「空気」に侵された組織を目の当たりにしたときです。

「空気」が悪ければ組織改革など、遅々として進みません。お互いの信頼関係が土台としてないと絶対にうまくいかない「働き方改革」などは、単なる掛け声倒れになります。

名目スタンダードと実質スタンダード

それではどのようにして組織の「空気」を「良い」「悪い」「普通」に分類できるのか、二重規範(ダブルスタンダード)という言葉を使って解説していきます。

「ダブルスタンダード」とは、同じ状況において異なる規範・価値基準が不公平に適用されることを言います。「名目スタンダード」と「実質スタンダード」という言葉で表現します。

● 名目スタンダード ...... 組織内の名目上の共通認識・価値観・ルール等(組織全体が同じであることが基本)

● 実質スタンダード ...... 組織内の事実上の共通認識・価値観・ルール等(主導するリーダーなどによって変化する)

要するに「名目スタンダード」は建前で、「実質スタンダード」は本音のこと。

たとえば「名目スタンダード」が「残業は月20時間以内」であっても、「実質スタンダード」が「若いうちは残業100時間ぐらいするのが当たり前。早く帰る奴は仕事が少ないとみなす」だと、二重規範。

つまりダブルスタンダードがまかり通る組織、ということになります。誰も強要はしていません。しかし、どうもそのような「空気」が漂っていて、仕事が定時までに片付いても帰宅できる雰囲気ではないという組織がゴロゴロあります。

「人」ではなく、「空気」が圧力をかけてくるので、よほど空気が読めない人でないかぎり、抗うことは難しいでしょう。

社員にも利益があるべき