<現場を知らない管理者が押し付ける時短は能力も成果も潰すハラスメントになる>

安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける「働き方改革法案」が5月31日、ついに衆議院本会議で可決しました。

「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の問題で野党は徹底抗戦を仕掛けましたが、別の場所でも複雑な思いでこの法案可決を見つめていた方々がいるはずです。仕事好きで、達成意欲が高い人たちがその最たるものでしょう。

長時間労働を是正することは、もはやすべての日本企業に課せられた責務。しかし、現場感覚のない人が上から目線で時短を強要すると、結果を出したい、目標を達成したいという意欲の高いマジメな人を苦しめることになります。これが一種のパワハラ......「時短ハラスメント(ジタハラ)」を引き起こします。

この「時短ハラスメント(ジタハラ)」という言葉は、私が2016年12月の記事に使ったことがきっかけで週刊誌などにも取り上げられ、さまざまなニュースでも取り上げられるようになりました。なぜ、ここまで「ジタハラ」という言葉が使われるようになったのか?

今回は「働き方改革」を進める裏で、苦しんでいる人がいることもまた知ってもらいたいと思います。

職種によって「成果」は異なる

働き方改革の一環として、政府は「時間」単位ではなく「成果」単位で人を評価する新たな基準づくりを推し進めようとしています。しかし、現場サイドからすれば「成果」といっても、何を成果に設定したらいいかわかりづらい職場もあります。

製造部、管理部や情報システム部などは、どちらかというと「減点主義」の職種です。トラブルが起こらないように(減点されないように)、現状を維持させることに力を入れます。「成果」と言われても、あたりまえのことをあたりまえにやり続けるしかないのが普通。会社へのアピール材料が乏しい職種です。「今期の目標は?」と言われても、「淡々と日々の業務をこなします」としか言いようがないことがよくあります。

いっぽうで営業や商品開発などは「加点主義」の職種です。成果を出そうと思えば果敢にチャレンジできます。「今期の目標は?」と上司から聞かれたら「新規のお客様を10社開拓します」とか「利益率の高い商品を最低3つは開発します」などと言えます。会社にアピールする材料を豊富に持っているといえるでしょう。

製造部、管理部、システム部などは、想定外のトラブルが起こらない限りはルーティンワークが続きます。自主的にできることといったら積極的に「改善提案」をすることぐらいです。したがって、業務手順の見直し、マニュアル化などによって労働時間を圧縮することは意外に容易でしょう。夜の9時や10時までの残業が常態化している部署があれば、すぐにメスを入れたほうが良い。

時間が予測できない仕事もある