<「自助努力支援」をアフリカ援助の公式目標とする日本だが、中国との金額の競い合いはそれを遠ざけることになる――TICAD8から考える>


・日本政府はアフリカ各国向けに300億ドルの資金協力を約束した。

・日本政府の最大の目的は、国際的な発言力の強化と中国に対抗することにあるといえる。

・しかし、中国との「援助競争」は日本だけでなくアフリカにとってもリスクを抱えたものである。

TICAD8での約束

8月27日〜28日、チュニジアの首都チュニスで第8回東京アフリカ開発会議(TICAD8)が開催された。

TICADは国連などとの共催で日本政府が1993年から開催してきた国際会議で、アフリカの開発を協議する場である。ケニアのナイロビでのTICAD6以来、アフリカ大陸で開催されるのは2回目だ。

コロナ感染のため初日の全体会合にリモートで参加した岸田首相は、今後3年間で官民あわせて300億ドル、日本円で約4兆円の資金協力を約束した。日本政府によると、その主な内訳は以下の通り。

・脱炭素への構造転換を見据えた「グリーン成長イニシアティブ」に40億ドル

・国連アフリカ開発銀行と協調した民間セクター支援に約50億ドル

・産業人材を5万8000人育成

・COVAXを通じた新型コロナワクチン支援に約15億ドル

・食料生産強化支援に3億ドル、緊急食料支援に1.3億ドル など

なぜアフリカに協力するのか

アフリカ研究者としては残念だが、毎回TICADの認知度は低い。しかし、これまでと比べても今回のTICADは国内で不評といってよい。

「アフリカに4兆円」のインパクトが大きかったのか、コロナ感染拡大に端を発する景気後退に加えて、ウクライナ侵攻による諸物価高騰のなか、なぜアフリカに支援しなければならないのかといった意見はネット上に溢れている。

ここで念のために確認すると、4兆円の全てがアフリカに対する善意の拠出ではないということだ。そこには二つのポイントがある。

第一に、そこには日本企業が利益を見込んで行う投資が含まれる。

前回2019年のTICAD6で安倍首相(当時)は日本企業による200億ドルの投資を約束した。今回、官民の内訳は明示されていないが、前回とほぼ同じ程度だとすると過半数は投資であるため、ただの支援というわけではない。

第二に、一般的に国際協力というと「相手のため」と思い込まれやすい(これは筆者が「国際協力の神話」と呼ぶものの一つ)が、そこに「人道」といった大義名分があるにせよ、ほぼ必ず自国の外交的(経済的とは限らない)利益が織り込まれている。

援助競争はアリ地獄