つまり、中国は簡単にトルコのラブコールを受け入れるにではなく、この期に乗じてトルコを封じ込めにかかっているのだ。

これに対して、現在のところ、他のイスラーム諸国と同様、トルコ政府から再教育キャンプの合法化に関する公式のコメントは出ていない。

こうしてみたとき、中国政府が新疆ウイグル自治区の再教育キャンプに法的根拠を与えたことは、一見ただイスラーム勢力の取り締まりを強化するもののようでいて、開発途上国とりわけイスラーム諸国からの批判を出にくくする外交的な試みといえる。これに対して、アメリカやトルコが仮に批判を強めても、ウイグル人のために、外交的非難以上の具体的なアクションを起こすことは想定しにくい。したがって、どう転んでもウイグル人の人権状況が改善する見通しは暗いと言わざるを得ないのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。他に論文多数。

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