中国はトルコと同様、関税引き上げの措置を受け、トランプ政権との貿易戦争に直面している。ロシアは2014年のクリミア危機以降、イランは5月のトランプ政権によるイラン核合意破棄以降、アメリカから経済制裁を受けている。

エルドアン政権の方針は、これらとの取り引きを増やすことでトルコ経済を立て直すとともに、アメリカと対抗しようとするものといえる。これに関して、英紙テレグラフは、トランプ政権が『制裁を受ける国の汚れた枢軸』を生むリスクを抱えていると指摘している。

中国からみたチャンス

では、中国はエルドアン大統領のラブコールをどうみているか。

8月10日、中国の英語放送CGTNはエルドアン大統領の方針を詳細に伝えた。中国にとって、リラ急落に見舞われるトルコのラブコールに応えるメリットは小さくない。

特にリラ急落は、金融面で中国が影響力を伸ばす転機となる。リラ急落直前の9日、中国銀行トルコ支社は初めて人民元で起債(パンダ債)していたが、リラが不安定になるほど、同様の動きは広がるとみられる。

人民元の普及は、習近平体制が推し進める「一帯一路」構想の柱の一つでもある。もともとトルコは「一帯一路」構想に(少なくとも表面的には)協力的で、2017年5月に中国で開催された「一帯一路」国際会議にエルドアン大統領はプーチン大統領らとともに出席していた。リラ急落を機に金融面でもトルコ経済に影響力を伸ばすことは、中国にとって「一帯一路」構想を加速させるものとなる。

また、既に中国はトルコ経済に深く食い込み始めている。中国屈指の情報通信企業ファーウェイはトルコ・テレコムと共同で5G回線の普及を進めており、宅配サービスのアリババも事業を開始している。リラ急落はこれら中国企業にとって、トルコ企業買収を加速しやすくする。

そしてなにより、「アメリカの横暴」に直面するトルコやイラン、さらにロシアを糾合した運動を展開することは、アメリカと張り合う大国としての立場の確立にもつながる。

こうしてみた時、香港に拠点をもつアジア・タイムズが「中国がトルコを買い叩く」というコラムを掲載したことは不思議でない。

中国にとってのブレーキ

ただし、トルコの要請に中国が一方通行で傾くかは疑問だ。実際、エルドアン大統領のラブコールに中国政府はこれまでのところ公式の反応を示していない。

もともと中国とトルコの間には、浅からぬ因縁がある。両国は新疆ウイグル自治区をめぐって対立してきた。

対決を演出してきたトランプ