<いまだ石油で1日10億ドルの戦費を稼ぐロシア。経済制裁がそれでも効く理由>

米英とEUはロシアのウクライナ侵攻を止めるため、強力な経済制裁で圧力をかけた。これに対しロシアのプーチン大統領は、欧米の制裁は「オウンゴール」になったと反論した。

戦争は避けたいが、何かをしなければならない──1930年代以降、そう感じた大国は制裁を選択するケースが増えた。だが制裁は対象国の国民を苦しめるだけで、その国の政策を変えさせることはできない、というのが定説だ。

短期的に見れば、ロシアへの制裁もウクライナ侵攻を止められそうにない。それでもアメリカやEU、G7などが次々に発動した史上最も厳しい対ロ制裁は、まだ効果が出始めたばかりだ。

ロシアの貿易の41%はEU向けであり、その大半が制裁で止まる。ロシアの中央銀行は他の国際機関との取引を禁止され、銀行間決済ネットワークのSWIFTを介した支払いも不可能になった。ロシア経済は事実上、国際取引から排除されたことになる。

欧米はロシアの外貨準備高6000億ドルの3分の2を凍結。1914年以来のデフォルト(債務不履行)に追い込みつつある。

何百もの外国企業がロシアから撤退し、20万人が失業の危機にある。機械や製品の重要な部品は手に入らない。ロシアのGDPは2022年だけで15~20%低下する見込みだ。

中国やインドなどの「非同盟」諸国との貿易は続いているが、ロシアが失った欧米との貿易の穴は埋められない。

欧米による包括的制裁にも例外はある。石油製品だ。石油産業はロシアのGDPと輸出収入の6割を占めているが、欧州は天然ガスの45%、石油の27%をロシアに依存しているため、欧米は石油製品を制裁対象から除外した。

おかげでロシアは1日10億ドルの収入を確保し、今のところウクライナ戦争の戦費を調達できている。

経済制裁は秩序を変える
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