<中国人は農村部の子供たちの貧しい様子を見ると、とにかく何かせずにはいられない>

中国人はお人よしだ。こう言うと、日本人はきっと反論するだろう。でも元・中国人の私が言うから間違いない。特に小さな子供がかわいそうな目に遭っているのを見ると、とにかく何かせずにはいられない。

1月中旬、1枚の写真が中国のネットで大反響を起こした。雲南省の山間部に住む小学3年生の王福満(ワン・フーマン)君が髪と眉毛を真っ白に凍らせて登校した様子を撮影したものだ。学校が統廃合されたため、彼は寒い冬でも毎朝4.5キロを歩いて登校しなければならない。都市への出稼ぎ農民が増えたため、農村では急速に過疎化と学校の統廃合が進んでいる。

王君も父親が出稼ぎで1年の大半は家におらず(母親は家を出たらしい)、祖母と姉の3人で暮らす「留守児童」だ。頬を真っ赤にした薄着の王君の写真を見た中国人の間で一気に同情が広がり、彼の通う小学校に10万元(約170万円)の寄付が送られた。農村の人々にとっては大金だ。同じ時期、山東省で7歳の孤児が育ての親の宅配業を手伝う動画も人々の同情を呼び、これにも寄付の申し出が殺到した。

この種の現象は今に始まったことではない。90年代、寄付金を集めて農村地区の貧しい子供の暮らしと学習を助ける「希望工程(希望プロジェクト)」という運動が広がった。大きな目が印象的な少女のポスターが運動のシンボルになり、ここから資金援助を受けた児童の数は300万人を超えた。

中国人がこの手の話に弱いのは、農村に自分のルーツと感傷を覚えるから。彼らの善意と思いやりは確かに素晴らしい。だが、本来は自分たちがやるべき貧困対策や教育問題を、民間の寄付に頼って解決する政府はずる賢くないか?

この話にはオチがある。冒頭の王君が「将来、警察官になりたい!」と素朴な希望を語ると、さっそく警察大学が特殊部隊の制服を着てライフルを持った王君の似顔絵を作り、警察のイメージアップに利用した。90年代の希望工程のポスターになった「大きな目の少女」は、なんと共産主義青年団の副書記になった。堂々たる共産党の幹部候補生だ。

これだけ政府に善意を利用されても気付かない......やはり中国人はお人よしだ。

【ポイント】

■留守児童


出稼ぎに行った両親が、都市では教育など十分な公的サービスを受けられないため祖父母らと農村に残した子供のこと。

■共産主義青年団

14歳以上の青年が所属し、共産党員予備軍として共産主義などについて学ぶ。出身者が党の有力派閥を構成する。

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