<どちらも全米では「好き」より「嫌い」のほうが多い――トランプの差別ツイートは再選のための作戦か>

トランプ米大統領が7月14日に発した「国に帰れ」という悪意あるツイッターは、4人の女性下院議員に対する正面攻撃だった。トランプは民主党左派のこの4人について、「政府が完全かつ全面的に破綻した国の出身者だ」と、事実と異なる説明をした。

4人の女性はいずれもアメリカ市民であり、3人はアメリカ生まれ。残るイルハン・オマルは12歳でアメリカに移住した。

このツイートは激しい非難を浴び、最終的に下院で非難決議が採択された。実際、法律の教科書に載るような差別行為の典型例だ。まともな民間企業なら、即時解雇だろう。

ニューヨーク14区選出の元バーテンダー、アレクサンドリア・オカシオコルテス(29)。ミネソタ州5区選出の3児の母、イルハン・オマル(36)。マサチューセッツ州7区選出のアヤナ・プレスリー(45)。そしてミシガン州13区選出のラシダ・トレイブ(43)。

「スクワッド」と呼ばれるこの4人組は、なぜトランプをここまで怒らせたのか。彼女たちは政界の常識を破壊する「ゲームチェンジャー」なのか。

スクワッドは多くの点でトランプとよく似ている。どちらも「政治の時代」の一つの象徴だ。トランプと同じく、彼女たちもほとんど一夜にして政界のスターの座に上り詰めた。

4人組を利用する作戦

彼女たちが選挙で獲得した票は、アメリカ人全体から見ればごくわずかだが、メディアへの影響力は相当なものだ。最もいい例がオカシオコルテスだろう。

彼女が民主党の下院予備選で獲得したのは1万6000票足らずだが、ベテランの現職議員を破る大番狂わせだったせいで一気に注目の存在になった。今ではツイッターとインスタグラムのフォロワー数は民主党で断トツの1位。2位以下の大物議員7人の合計より多い。

今はSNSをうまく使える候補者が政治エリートとその体制をたたきつぶせる時代だ。トランプは16年の大統領選で、スクワッドは18年の中間選挙でそれをやってみせた。

今の彼女たちは巨大な影響力を持っている。4人の中で最も知名度が高いオカシオコルテスは、大統領経験者を除けば民主党で最も選挙の際に推薦してもらいたい政治家になった。

誰の推薦が最も価値があるかを有権者に尋ねたところ(上位5人まで複数回答)、1位はオバマ前大統領の70%、2位はビル・クリントン元大統領で28%、3位はカーター元大統領の27%、オカシオコルテスは25%で4位だった(ヒラリー・クリントンは24%で5位、ナンシー・ペロシ下院議長は22%で6位)。

「嫌いな人の方が多い」のも共通点