最新記事

軍事

韓国軍、北朝鮮対抗で発射のミサイルがまさかの異常飛行で落下爆発

2022年10月5日(水)17時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ミサイルが落下爆発した光景

韓国軍が北朝鮮への応報として発射したミサイルが落下爆発した YTN / YouTube

<北朝鮮を先制打撃できるミサイルのはずが......>

4日朝、北朝鮮が5年ぶりに日本上空を飛び越える弾道ミサイルを発射したが、これに対する対応措置として米韓両軍が4日深夜に複数のミサイル発射を実施した。ところが韓国側が発射した国産ミサイル「玄武2」が爆発する事故が発生した。文化日報など韓国メディアが報じた。

韓国軍合同参謀本部は会見で、5日「前日の夜、空軍第18戦闘飛行団近くの射撃場で北朝鮮の弾道ミサイル挑発に対する対応射撃として、米韓がそれぞれ地対地ミサイル「ATACMS」4発(米韓それぞれ2発)と韓国軍のミサイル「玄武2」1発の計5発を海上に発射した。この過程で「玄武2」1発が発射直後に異常飛行をして基地内に落下した」と発表した。

軍当局は「現在まで人命などの被害はなく、正確な原因は調査中である」と明らかにした。

ソウル五輪に合わせて開発された国産ミサイル

韓国国産ミサイル「玄武2」は韓国国防科学研究所が開発した短距離弾道ミサイル。1988年のソウルオリンピック開催に合わせて、北朝鮮による五輪妨害への抑止力として作られたが、米韓ミサイル指針により射程距離は180kmに抑えられた。

その後、北朝鮮の長距離弾道ミサイルが進化したことで米韓ミサイル指針が2001年に改正され、射程距離が300kmとなったことを受けて開発されたのが「玄武2」だ。現在は射程距離が300kmの「玄武2A」に加えて、射程距離がそれぞれ500kmと800kmの「玄武2B」「玄武2C」「同D」が実戦配備されている。

報道規制でさまざまな憶測を呼ぶ

今回の「玄武2」爆発事故と関して、韓国のネットには4日午後11時30分ごろから、韓国東部の江原道江陵市にある第18戦闘飛行団の付近で、巨大な爆発事故が起きたように炎が立ちのぼる映像が掲載された。ネットユーザーらの間では一晩中「北朝鮮が発射したミサイル?」「飛行機墜落事故か」「大型の爆発事故のよう」などこの爆発についての議論が続いた。

一部のネットユーザーは、「これは2015年に中国・天津港で起きた爆発事故の映像だ、誰かがいたずらで「江陵、爆発映像」とタイトルをつけて掲載したフェイクニュースだ」と主張したりもした。

韓米両軍の地対地ミサイル対応両軍については、5日午前の公式発表まで報道規制がされたため、ネットユーザーたちの論争を煽る形となったようだ。

【動画】韓国ミサイル「玄武2」、落下爆発を見る

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中