最新記事

農業

バイエルが遺伝子組み換え作物大手モンサント買収合意、実現には紆余曲折も

2016年9月15日(木)10時41分

9月14日、独医薬品・化学大手バイエルは、米農業関連・種子開発大手モンサントを1株当たり128ドルで買収することで合意したと発表した。2014年2月撮影(2016年 ロイター/Ina Fassbender)

 独医薬品・化学大手、バイエルは14日、米農業関連・種子開発大手、モンサントを1株当たり128ドルで買収することで合意したと発表した。

 債務を含む買収総額は約660億ドル。1株当たりの買収提案額をこれまでの127.50ドルからさらに引き上げ、ようやく合意にこぎつけた。

 提案額は、書面で初めて提案を行う前の5月9日のモンサント株価に44%上乗せした水準という。買収は2017年末までに完了する見通しで、違約金は20億ドル。

 買収資金は債務と株式の組み合わせで賄う方針で、株式部分に関しては強制転換社債と株主割当発行を通じて約190億ドルを調達する。金融機関が、570億ドルのつなぎ融資を行うという。

 バイエルは今回の買収で、手続き完了後の1年間に1株当たりの中核的利益を押し上げるほか、押し上げ効果は3年目に2桁%に達すると見込んだ。

 バイエルに出資するユニオン・インベストメントのファンドマネジャー、マーカス・マンズ氏は「バイエルの競合他社が経営統合を進める中、今回の買収合意がなければ、(バイエルは)競争上不利な立場に置かれる」と語った。

 ただ、買収には紆余(うよ)曲折を予想する声も聞かれる。

 米国やカナダ、ブラジル、欧州連合(EU)などの規制当局が時間をかけて、買収を精査する公算が大きい。モンサントのヒュー・グラント最高経営責任者(CEO)は14日、買収承認申請を約30地域で行う必要があるとの認識を示した。

 バイエルの一部株主は買収提案額が高すぎて、自社の製薬事業軽視につながる恐れがあるとして、警戒感を示す。

 Baader Helevea Equity Researchのアナリスト、ジェイコブ・スレーン氏は、バイエルの投資判断を「売り」とした。買収額が来年のモンサントの中核的利益見通しの16.1倍に達すると指摘。中国化工集団(ケムチャイナ)のシンジェンタ買収合意額の15.5倍を上回るという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン外相、外交優先なら米との合意可能 公正な早期

ワールド

トランプ氏、一般教書演説で「強く繁栄する米国」強調

ビジネス

インフレ2%なら利下げ可能も、生産性向上は過信すべ

ワールド

経団連、米エリオットとの非公開会合を延期 「諸事情
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 6
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 7
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 8
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中