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世界一過保護な国アメリカでは、日本の親は全員ネグレクト

2020年03月03日(火)16時10分
船津徹

<13歳未満の子どもを一人にさせない、この明確な原則のせいで過剰に過保護な親が増えてしまったアメリカ。一方、しつけと虐待の境界線がグレーな日本>

カリフォルニア州に住む母親が、自宅アパートの敷地内で4歳の子どもを一人で遊ばせていたところ、近隣住人に通報され警察に逮捕されました。ハワイに観光に来ていた日本人の母親が、小学生の子どもをホテルの部屋に置いたまま買い物に出かけたところ、ルームキーパーに通報され警察で取り調べを受けました。

アメリカでは子どもの安全は社会全体が守るものという考えが強くあり、犯罪や虐待のサインは見逃さない、見て見ぬふりしない、疑わしきは通報するという意識が人々に浸透しています。もちろん保護責任者である親には、子どもの生命を守る義務があり、それを怠ればペナルティーが課されます。

日本の親はアメリカ基準では全員ネグレクト!

2014年の米国保健省の資料を見ると、全米の児童虐待相談件数は年間約360万件で、そのうち虐待を受けたと認定された子どもは70万2000人に上っています。虐待死も年間約1500人で、一日平均4人以上の子どもが保護者による虐待で亡くなっています。

子どもの虐待には、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト(育児放棄)があります。アメリカで最も多いのがネグレクトです。子どもを一人で留守番させたり、一人で遊ばせたり、満足に食事を与えなかったり、何日もお風呂に入れなかったりすれば、ネグレクトと見なされます。

ネグレクトの定義や罰則は州によって異なりますが、一般にアメリカでは「13歳未満の子どもを一人にさせないこと」が常識となっています。家の中であっても、子どもを一人で留守番させていると、近隣住民からネグレクトの疑いをかけられることになります。

日本では子どもが一人で電車やバスで登下校したり、一人で留守番したり、夜中に塾から一人で帰ってきたり、親の監督なしで友だちと外で遊ぶことは普通ですが、アメリカでは100%ネグレクトの疑いがかけられ、親は取り調べを受けることになります。

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