最新記事

出会い

心が疲弊するだけ? 出会い系アプリで本当に幸せになれるのか

2018年09月12日(水)18時30分
吉野潤子

なんだかネガティブなことばかりがクローズアップされる出会い系サービスだが、中にはサービスがきっかけで幸せな結婚をした人もいるのでは? これについては、米ワシントン・ポスト紙の取材の中でセールスも言及している。

セールスは、「(結婚に至ることが)皆無とは言っていませんよ。我々は、ヒンジ(Hinge)で出会ったカップルの結婚式にも行きましたし(しかし、番組内容には入っていない)。でも、私が(花嫁に)インタビューした時、結婚した彼女でさえ出会い系アプリについては文句を言っていましたし、どれだけ過酷だったかを語っていました」と語った。

この花嫁は、「自分はたまたまラッキーだっただけ」と言っていたそうだ。出会い系サービスで出会って結婚した人はただ宝くじに当たったようなものであって、決してそれがスタンダードという訳ではないそうだ。

削られる自尊心......魅力に自信が持てなくなってくる

出会い系サービスを利用しているうちに、自分の容姿や性的魅力に自信が持てなくなり落ち込む人も増えているようだ。米国のノーステキサス大学の研究者らが2016年に発表した研究結果によると、ティンダーの利用者は非利用者と比べて自己肯定感が低くなり自分の容姿に満足できなくなるリスクが高いという。

そして、この傾向は男女でそこまで大きな違いがないことが明らかになった。膨大な量の写真をスワイプして選ぶとなると、男女問わず見た目だけで判断される確率が高くなるのは当たり前だ。容姿だけで「ナシ」と判断されて傷つくのは、男性も女性も一緒だ。

英BBCの9月7日付の記事でも、出会い系アプリで自尊心を削られメンタルヘルスに悪影響を受けた利用者たちの生の声を取材した。取材に対し、行動心理学者でデーティングコーチのジョー・ヘミングスは、拒絶され続けると「自分には価値がないという考えが形成される」として、出会い系サービスの使いすぎに警鐘を鳴らしている。

膨大な写真をスワイプして「品定め」をする作業は、まるでネット通販を利用するようだ。前述のワシントン・ポスト紙のインタビューの中で、セールスは「セレンディピティ(偶然の素敵な出会い)によるロマンスというものが失われてしまった」と嘆いていた。

というか、素敵なロマンスがなかなか日常に転がっていないから皆仕方なくアプリを利用しているのでは......?という疑問もある。いずれにしてもこの時代の流れは止められそうになさそうだ。

【参考記事】出会い系サイトのアプローチは博打に似ている――本能的な好みの「真実」と現実世界のズレ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECBの利下げ開始は「適切」、FRBは慎重さ維持を

ビジネス

米労働生産性改定値、24年第1四半期は0.2%上昇

ワールド

イラク武装勢力との連携強化、対イスラエルで=フーシ

ワールド

バイデン氏、ウクライナ支援継続を確約 仏でDデー8
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 3

    世界各国の王妃たちに「好印象」を残した、キャサリ…

  • 4

    下品すれすれのセクシャルなジョークで勝負...「女性…

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 1

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 3

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 1

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 3

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:ウクライナの日本人

特集:ウクライナの日本人

2024年6月11日号(6/ 4発売)

義勇兵、ボランティア、長期の在住者......。銃弾が飛び交う異国に彼らが滞在し続ける理由