SPECIAL ADVERTISING SECTION

自分を創る音の風景

vol.3 バレエ・ダンサー 熊川哲也さん

2014年05月22日(木)12時01分

──ちなみに、15歳のときにイギリスのロイヤル・バレエ学校に留学されて以降、世界各国の舞台に上がってこられましたよね。海外生活のなかで記憶に残っている音楽・音はありますか?
「(ロンドンの)コヴェントガーデンとかウエストエンドのほうに行くと、ストリートでバグパイプ奏者が演奏している光景をよく見かけていました。スコットランドの伝統衣装を着て、スコットランド民謡を奏でていてね。当時はバグパイプのメロディーに何か特別な感情を覚えることはなかったのですが、今は当時の思い出と一緒になっているので、バグパイプの音色を聴くとちょっと感傷的になりますね(笑)」

熊川哲也さん──熊川さんにとって思い入れの強いクラシック音楽の作曲家はいらっしゃいますか?
「チャイコフスキーは子どもの頃から慣れ親しんでいました。メロディーがとても研ぎ澄まされているので、子どもでも覚えやすかったのでしょうね。よく鼻歌で歌っていました。チャイコフスキーはバレエ音楽の世界でも神のような存在ですね」

──では、熊川さんのこれまでの活動においてターニングポイントとなった曲はありますか?
「ジャン・コクトー台本、ローラン・プティ振り付けの『若者と死』という作品があるのですが、僕もかつてその作品を踊らせていただいたことがあります。そこで使われていた曲がバッハの"パッサカリア"。僕にとってターニングポイントになった作品の楽曲なので思い入れが強いんです。『若者と死』はある芸術家の若者が自殺するまでの短編なのですが、アーティストとしての才能が枯れた際の行く末を描いたものだと自分は捉えています。アーティストはいつ枯れてしまうか分からないわけで、一秒一秒を大切にしなくてはいけない──そういうメッセージが『若者と死』には込められている気がして。だから、今も舞台に上がる前の15分は必ず"パッサカリア"を聴くようにしています。神経を集中するための儀式のようなものですね」

MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中