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資生堂、今期520億円の最終赤字に転落 米州事業で468億円の減損

2025年11月10日(月)17時08分

 11月10日、資生堂は、2025年12月期の連結純損益予想(国際会計基準)を520億円の赤字に下方修正した。写真は第3回中国国際消費財博覧会における資生堂のブース。2023年4月、海南省海口市で撮影(2025年 ロイター/Casey Hall)

Ritsuko Shimizu

[東京 10日 ロイター] - 資生堂は10日、2025年12月期の連結純損益予想(国際会計基準)を520億円の赤字に下方修正した。60億円の黒字予想から一転赤字予想となり、前年の108億円の赤字から赤字幅は拡大する。米州事業の収益性が低下していることから、468億円の減損損失を計上した。

会社予想はIBESがまとめたアナリスト15人の予想平均84億円の黒字を下回った。

同社は、一定の年齢や勤続年数などの条件を満たす社員を対象に、一部子会社も含め、200人前後の早期退職も募る。募集期間は12月8日から12月26日で、退職日は3月31日。これにより30億円程度の構造改革費用計上を10―12月期に見込んでいる。

同社は早期退職により2024年に国内で約1500人、今年8月に米国で約300人の人員削減を行っている。

藤原憲太郎社長は決算会見で「25年中に全てのアクションプランを完遂し、26年に250億円の効果発現にメドがついた」と述べた。今回の早期退職募集でコスト構造改革を終え「来年からはブランドに投資できる」とした。

また、減損損失を計上した米州事業については「構造改革と固定費削減で26年に黒字化を見据えている」との見通しを示した。2019年に買収したスキンケアブランド「ドランクエレファント」が減損の中心となっているが、来年からはブランド価値の先鋭化などに取り組む方針を示した。

年間配当1株40円(前年実績は40円)の計画には変更はない。

<2030年、コア営業利益率10%以上目指す>

廣藤綾子最高財務責任者(CFO)は「これまで実施してきた構造改革は資生堂の未来を創るために必要かつ正しいプロセスだったと確信している」と述べた。

2030年を目標とした中期経営戦略では、ブランド力を向上させ、コア営業利益率10%以上(26年見通し7%)、ROIC(投下資本利益率)10%以上(同5%)、ROE(自己資本利益率)12%以上(同7%)と、それぞれの指標で10%以上を目指すことを掲げた。

キャッシュフローは5年間で5000―6000億円を創出。設備投資に2000億円程度、配当は1300億円程度などに配分する予定。

海外では、米国の「ドランクエレファント」の立て直しのほか、中国・トラベルリテールでは注力ブランドのシェア向上や美容医療などの新領域への挑戦、ECの一部内製化などを進める。

ロイター
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