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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

クリスマスプレゼントには何を選ぶ?

 クリスマスには部屋や家族向けの贈りものも多い。ルームスプレーやディフューザー、みんなで遊べるボードゲーム、ポインセチアやシクラメンの鉢植えなど。21世紀にボードゲームなんてと思うかもしれないけれど、クリスマスにはわりと人気なのだ。夫の娘の家でクリスマスを過ごすと、いつもはテレビやスマホでゲームをしている子どもたちが、突然トランプや人生ゲームを持ち出すので驚いてしまう。

 それからもちろん、食べもの。ワイン、チーズ、パウンドケーキ、ビスケット、コーヒー、紅茶の定番から、各地から取り寄せる名産品や高級食料品の詰め合わせ、クリスマスのお菓子。食べものの評判がよくない英国だけれど、おいしいものもたくさんあるのだ。

 プレゼントは必ずしも買ったものでなくていいらしい。ずっと持っていた大切なものとか、家にあった少し値の張るものをいただくこともある。わたしが心に残っているのは、元ご近所さんにいただいたエナメル製のカタツムリのブローチだ。ブローチとしては小さくて変わっているねと言ったら、「義母のイヤリングをブローチに作り替えたの。左右で2つあるから、ひとつずつ持っていようね」と教えてくれた。嬉しくて、彼女が引っ越してしまった今も大切にしている。

 大人になると欲しいものはたいてい持っているので、「モノ」ではなく「コト」のプレゼントも増えてくる。たとえば旅行や食事、コンサート、芝居や展覧会のチケット。ギフト券も実用的だ。ちょっと味気ないかなと思いつつ、本の好みがうるさい夫にはよく図書カードを贈る。3、4年前、友人に連れて行ってもらったホテルのアフタヌーンティーは、思い出深い「コト」のプレゼントだった。クリスマスの飾り付けをながめながら季節のおいしいものをいただき、贈り主の友人ともゆっくり話せて、とても特別な気分に浸ることができたのだ。

 実は今年は、大人の友人たちによいプレゼントを見つけて得意になっている。

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手間いらずのアマリリス。下はワイヤーで固定されているので、ごろごろ転がることもない。クリスマスとお年賀を兼ねて日本の家族にも送った(日本でも買えます)。実はわたしもお隣さんから今年のクリスマスにいただいたので、嬉しくて食卓に飾って毎日ながめている。筆者撮影

 水やりも何もいらないアマリリス(の球根)だ。ちょこんと置いておくだけでぐんぐん育って花を咲かせてくれるし、球根から成長する過程をながめるのも楽しい。去年の暮れにお隣の家で見せてもらってひとめぼれし、その時から今年のプレゼントにしようと決めていた。花はそれほど好みを選ばないし、休暇の時期に家族で楽しんでもらえる。しかも目新しい上に手間いらず。大きくて華やかなアマリリスは、クリスマスや新年によく使うので、喜んでくれた友人が多かった(生きものなので、今年はすぐに包みを開けてもらったのだ)。わたしのプレゼント史上かなりのヒットなんじゃないかと、ふふふとひとりで笑っている。

 クリスマスに大はしゃぎしていた孫たちが大きくなった今でも、みんなで一斉にプレゼント開ける時間は、やはり楽しい。もらったものをお互いに見せあったり、身につけるものはその場で着てみせたり、どうしてこれを選んだかという話をしたり聞いたり。ひとりで見るより、わいわいと包みを開ける方が楽しみが何十倍にもふくらむ。

 プレゼント自体は好みのものをもらえるとは限らないし、あちらも実はそんなに嬉しくないのかもしれない。それならいっそプレゼントのやりとりを廃止しようという人もいるのだけど、プレゼントのないクリスマスなんて、やっぱりつまらない。みんなで包みを開けたり、そのことについて話したりするだけでも存在意義があるんじゃないかしら。中身が好きでも嫌いでも、「あら、すてき!」とちょっと芝居がかった笑顔で会話を弾ませるのが、クリスマスのお約束じゃないかと思っている。

プレゼント - 1.jpeg

 今年はこれで最後の投稿になります。今年もEngland Swings!をご覧いただいて、ありがとうございました。読んでくださる方、見守ってくださる方のお力をいつも感じています。これからも素直な気持ちでロンドンの空気をお伝えできたらと思っています。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 コロナ禍もなかなか落ち着かない年の瀬ですが、お元気でハッピーに年末年始をお過ごしください。楽しいクリスマスを。すこやかな2022年になりますように。

 

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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