最新記事
アメリカ社会

トランプ政権で勢いを増す多産奨励主義(プロネイタリズム)は極右思想。白人至上主義とつながりも

Report Warns of Anti-Family Pronatalist Movement's Growing Influence on Trump White House

2025年8月14日(木)14時41分
ジュリア・コンリー
バンス副大統領と家族

子どもを連れたバンス副大統領夫妻(ワシントン、6月14日)  Doug Mills/Pool via REUTERS

<一見「家族を支える」運動だが、実際には女性差別と白人至上主義に根差したものだと市民団体が警鐘>

*This story originally appeared in Common Dreams on May 25, 2025. It is shared here with permission under a Creative Commons (CC BY-NC-ND 3.0) license.

トランプ政権がアメリカ人により多くの子どもを産ませようとしてきたことは、J・D・ヴァンス副大統領が「子どももいない猫好きの女たち」と独身女性を侮辱したことや、出生率の低下に危機感を抱く「プロネイタリスト」活動家らと政府高官が面会してきた事実からも明らかだ。アメリカの出生率は2007年以降、低下を続けている。

だが、8月14日に全米女性法律センター(NWLC)が発表した報告書によると、ホワイトハウスが検討しているとされる出生促進策が、極右からは「家族重視」と見なされている一方で、実際には優生思想や女性蔑視を伴う運動によって推進されていることを詳細に示している。

提案されている施策には、6人以上の子どもを産んだ女性に「国家母親勲章」を授与する案、新生児の親に5,000ドルの「ベビーボーナス」を支給する案、高出生率地域をインフラ事業で優遇する案などが含まれる。

「ピカピカの母親メダルや赤ちゃん手当の約束の裏にあるのは、白人至上主義を高め、女性を職場から排除しようとする運動だ」と、NWLCのプログラム責任者エミリー・マーティンは述べた。

報告書では、シリコンバレーのテックエリートと、妊娠中絶や女性の就労権に反対する伝統的保守派が手を結び、「伝統的な家族構造の保存」と「女性に多くの子どもを産ませる」ことを共通の目標に掲げる様子が描かれている。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

スペイン、内燃エンジン車販売禁止計画の堅持要請 欧

ビジネス

米コカ・コーラ、英コスタ・コーヒー売却計画が破談の

ワールド

韓国警察、旧統一教会本部などを捜索 議員らへの金品

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 「解決策模索
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中