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ウクライナ戦争

現状は「プーチンの勝利」...和平交渉に向けてトランプが出せる、最大の「アメ」と「ムチ」は何なのか

FIGHT OR TALK IN 2025?

2025年2月21日(金)14時48分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)
ゼレンスキー大統領、トランプ大統領、プーチン大統領

ゼレンスキー(左)とトランプ(中央)が停戦交渉に前向きな一方で、プーチン(右)は強硬姿勢を崩さない FROM LEFT: TARASOVーUKRINFORMーSIPA USAーREUTERS, SHANNON STAPLETONーREUTERS, GETTY IMAGES

<「1年以上続いた戦争は10年以上続く」の定説は覆るのか。ロシア・ウクライナ双方「引くに引けない」状況で、脅しでもディールでもない「デリケートな外交力」が試されるが──>

ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻してから最大と言える潜在的な変化が、今年1月20日に戦場から8000キロ離れた場所で起きた。ディール(取引)主義者のドナルド・トランプがホワイトハウスに帰ってきたのだ。

トランプの帰還により、アメリカのウクライナへの支援が止まるのではないか、そして、今年中にロシアとウクライナの和平交渉がまとまるだろうかという懸念が生じている。


現時点では、少なくとも停戦を交渉する条件は整いつつある。しかし、本格的な和平交渉に進むためにはトランプが米大統領として、これまで見せたことのないデリケートな外交手腕を発揮する必要がある。

ロシアは現在、80万人以上のロシア兵を展開している。主力戦車は侵攻前の保有数の約半分に相当する3700両以上がウクライナに破壊され、数十年前の旧式の戦車を保管倉庫から引っ張り出している。

【動画】ロシアの戦車不足いよいよ深刻...「独ソ戦」時代のT-34戦車まで「出撃準備」映像が拡散中

それでも戦力は維持しているようだ。ロシア兵が「肉ひき器」と呼ぶ戦術で大量の歩兵が波状攻撃を行い、ウクライナ軍の反撃で1日平均約1500人のロシア兵が失われている。

ウクライナ軍のある軍曹は自陣の前の野原に横たわるロシア兵の死体の山について、「毎日どれだけの人数を殺しているのかを目の当たりにすると、自分がどこにいるのか分からなくなる」と語った。

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