最新記事
アメリカ外交

トランプ政権が直面する「敵対勢力の結束」...外交で新たな課題

2025年1月22日(水)18時47分
トランプ米大統領

1月21日、トランプ米大統領は1期目に敵対国のロシアや北朝鮮と公然と友好関係を築く一方、中国やイランには個別に圧力をかける独自の外交を展開した。写真は20日、ワシントンで行われた就任に伴う舞踏会でスピーチするトランプ氏(2025年 ロイター/Daniel Cole)

トランプ米大統領は1期目に敵対国のロシアや北朝鮮と公然と友好関係を築く一方、中国やイランには個別に圧力をかける独自の外交を展開した。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に米国の敵対勢力は結束を強めており、トランプ氏は1期目とは異なる課題に直面している。

20日に大統領に就任したトランプ氏は米軍を増強する一方で、ウクライナでの戦闘を終結させ、イランの核開発を抑制し、中国に対抗することを誓った。だが、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は「制約のないパートナーシップ」を築いており、中国はロシアに対してウクライナでの戦闘を維持するのに必要な経済支援をしている。


 

プーチン氏と習氏は21日、両国の戦略的パートナーシップのさらなる深化について話し合った。

一方でプーチン氏は、24年6月に北朝鮮と、今月17日にイランとそれぞれ包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。

バイデン前大統領に指名されたニコラス・バーンズ駐中国大使が「神聖でない同盟」と呼んだ米国の敵対国4カ国のグループは、米国と同盟国にとって影響力の喪失につながるとアナリストは指摘している。

オバマ米政権で東アジア政策の責任者を務めた、米首都ワシントンのアジア・ソサエティー政策研究所のダニエル・ラッセル氏は「『ロシアと仲良くしたい』との願望を表明し、貿易で中国を封じ込めようとしているトランプ氏にとってのジレンマは、中ロの連携という制約ゆえにロシアは米国との関与にあまり意欲的でなくなると同時に、中国は米国の圧力による影響を受けにくくなることだ」と語った。

ロシアが欧米の厳しい制裁を乗り切ってこられたのは、中国によるロシア産石油の大量購入と、バイデン前政権がロシアの防衛産業基盤を支えていると指摘したデュアルユース製品(軍事、民事両方で利用可能な製品)の供給のためだ。

北朝鮮はロシアに対してウクライナ戦闘のための兵士と武器を供給し、核ミサイル計画を急速に進めている。専門家らは、イスラエルの攻撃によって弱体化したもののイランが核兵器製造に向けた取り組みを再開するのではないかと懸念している。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中