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タイの首相交代が「司法クーデター」と言える理由...タクシン次女、新首相選出の裏側

2024年8月19日(月)14時37分
セバスチャン・ストランジオ(ディプロマット誌東南アジア担当エディター)
首相に選出されたペートンタン・シナワット

新首相に選出されたペートンタン(8月16日) CHALINEE THIRASUPAーREUTERS

<セターが退陣し、タクシン元首相の次女ぺートンタンが新首相に。これはタイの「王政ネットワーク」による政治介入の最新事例だ──>

タイの憲法裁判所は8月14日、セター首相を「閣僚の倫理基準違反」で失職させる判決を下し、セターが退陣した。

これは、タイの「王政ネットワーク」が司法を使って政治介入する最新の事例にすぎない。


この1週間前、憲法裁判所は昨年の総選挙で最多議席を獲得しながら政権樹立を阻まれた野党、前進党の解党を命じたばかり。民主派の前進党は、王室への中傷を禁じる不敬罪の改正などを公約に掲げて最多票を集めていた。

セターが所属するタイ貢献党は、亡命していたタクシン元首相の帰国を認めさせる代わりに、敵対していた軍寄りの保守政党などと手を組み連立政権を樹立させた。その目的は、より進歩的な前進党の勢いを阻むことだった。

16日には議会が新首相を選出する投票を実施し、貢献党党首でタクシンの次女であるぺートンタンを選出。今後もタクシン派と保守派の連立政権が続くことになった。誰が選挙に勝とうが、王政ネットワークの支配は変わらないのだが。

From thediplomat.com

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