最新記事
音楽

音楽界のレジェンド、「ロックの女王」ティナ・ターナー死去 闘病の末に

Tina Turner Dead at 83 After Years of Health Problems

2023年5月25日(木)13時30分
キャサリン・ファン

観客に魂をぶつけるように歌ったティナ・ターナー(1987年、ハンブルグ) Michael Urban-REUTERS

<圧倒的な熱量のライブで世界中のファンを魅了したロックの女王が長い闘病生活の末、83歳の生涯の幕を閉じた>

世界中のファンに愛されたロック歌手、ティナ・ターナーが亡くなったことを、彼女の事務所が5月24日に明らかにした。享年83歳。

【動画】ティナ・ターナーを偲ぶビジュアル特集

「ロックンロールの女王、ティナ・ターナーは長い闘病生活の末、スイスのチューリッヒに近いキュスナハトの自宅で、今日安らかに83年の生涯を閉じた」と、事務所は発表した。「彼女を失うと同時に、世界は音楽のレジェンドとロールモデルを失った」

ターナーは近年、健康悪化に苦しんでいた。2016年に腸の癌が見つかり、翌2017年には腎臓移植も受けた。長いキャリアを通じて8回グラミー賞に輝き、その功績をたたえて「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム」と「セントルイス・ウォーク・オブ・フェーム」の星型プレートに名が刻まれている。

1994年からドイツ人音楽プロデューサー、アーウィン・バックとスイスで暮らし、2013年に彼と正式に再婚した。

最初の結婚生活は泥沼

ターナーの公式インスタグラムは24日、次のように彼女を追悼した。「彼女はその音楽と人生への尽きない情熱で世界中のファンを魅了し、次世代のスターたちをインスパイアした。私たちは今日、音楽という偉大な遺産を残してくれた親愛なる友人に別れを告げる......ご遺族に心よりお悔やみ申し上げ、哀悼の意を表する。ティナ、私たちはあなたを忘れない」


テネシー州で生まれ育ったターナーは1950年代末から音楽活動を始め、夫のアイク・ターナーのバンド「キングズ・オブ・リズム」に加わった。後に夫とのデュオ「アイク&ティナ・ターナー・レビュー」で活躍。60年代半ばには、「リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ」「プラウド・メアリー」などのヒットを飛ばし、R&Bとロックファンに屈指の人気を誇るデュオとなった。

一方で、アイクとの結婚生活はトラブル続きで、その泥沼劇もメディアに書き立てられた。ターナーは後に、結婚当初からずっと肉体的な虐待を受けていたと告白。1978年に離婚した。70年代にはターナーはソロでの音楽活動を開始。2007年にアイクが亡くなった後、故人とは30年以上音信不通になっていた、と事務所は述べた。

ターナーは1984年、久しぶりのソロアルバム『プライヴェート・ダンサー』をリリース。収録曲の「愛の魔力」は3部門のグラミー賞(年間最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀女性ポップボーカル賞)に輝き、アルバムは500万枚を売る破格の大ヒットとなった。

24日には、ソーシャルメディアで著名人が次々に哀悼の意を表した。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始 27

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中