最新記事
世界のニュース50

今も世界で10億人が魔術を信仰している

2023年5月13日(土)18時15分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
魔術

(写真はイメージです) T.Den_Team-shutterstock

<スウェーデンで9%、チュニジアでは90%──地域によってここまで魔術信仰率が違う要因とは?>

「世界の14万人以上のデータを分析したところ、95の国と地域で約10億人がいまだに魔術を信じていると推測される」と、アメリカン大学の経済学者ボリス・ガーシュマンは昨年11月に発表した。魔術信仰を隠すケースもあるため、実際はさらに多いと考えられるという。

今回の分析は、米ピュー・リサーチセンターなどが2008~17年に実施した大規模な対面・電話調査のデータを使用。魔術については、「邪視」や「他人を不幸に陥れる呪いやまじない」を信じるかなどを質問した。魔術信仰者の割合は地域差があり、例えばスウェーデンの9%に対しチュニジアは90%だった。

教育水準が高く経済的に安定している人ほど魔術を信じない傾向があり、宗教や神を信仰する人は魔術も信じる場合が多かった。国の社会制度の弱さ、社会的信頼の低さ、イノベーションの低さも魔術信仰率の高さに関連していた。慣習や伝統に従う傾向や、身びいきの強い文化があることも影響するようだ。

この研究で魔術信仰への理解が深まれば、そうした信仰の強い地域の人々との交流や、魔女の汚名を着せられた女性の保護に役立つとガーシュマンは期待している。

weboriginak20210521baeki-profile2.jpg[筆者]
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専攻卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)、獣医師。朝日新聞記者、国際馬術連盟登録獣医師などを経て、現在、立命館大学教員。サイエンス・ライティング講座などを受け持つ。文部科学省COI構造化チーム若手・共創支援グループリーダー。第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。デビュー作『馬疫』(光文社)を2021年2月に上梓。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界ハイテク15社が「信頼できる技術連盟」、マイク

ワールド

イスラエル、ヨルダン川西岸で入植者の土地登記を承認

ワールド

米の貿易改革要求に賛同、「シグナル受け止める」=W

ビジネス

英企業、正社員の採用削減を計画 労働法改革でコスト
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 2
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 5
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 8
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中