最新記事

日本社会

ひろゆき氏の炎上「辺野古ツイート」に見る冷笑主義にも称賛できる点はある

2022年10月13日(木)19時30分
西谷 格(ライター)
ひろゆき

辺野古新基地建設工事に反対する人たち(2021年10月)Issei Kato-Reuters

<沖縄・辺野古新基地前の抗議活動を揶揄するツイートが炎上したひろゆき氏。確かに「辞書通り」に解釈すれば座り込みではないかもしれないが、彼の冷笑主義はむしろ格好悪い......でも、今回の炎上には実は称賛できる点もあったのかもしれない>

先日のひろゆき氏の辺野古ツイート騒動が、思いのほか尾を引いている。簡単に経緯を振り返ると、ひろゆき氏は3日、基地移設問題で抗議運動をしている沖縄・辺野古の現地を訪れ、自身のツイッターで「座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」と投稿した。

ツイートには「新基地断念まで座り込み抗議 不屈 3011日」との看板の横でピースサインをするひろゆき氏の写真も添えられていた。座り込みと言っているけれど誰も座り込みなんかしていないじゃないかと、抗議運動をしている人々の主張に疑問を投げかけたわけである。

ツイートが注目された発端は、反対運動をしている人々が使っている「座り込み」という言葉の解釈について、ひろゆき氏と抗議者たちの間でズレがあったことだ。

抗議者たちは朝から晩まで座り込んでいるわけではなく、工事のトラックが出入りする9時、12時、15時の1日に3回、各15分程度のみ座り込んでいるという。後日、アベマプライムで放送された映像を見ると、確かにその時間帯は抗議者たちが工事を妨害するように路上に座り込み、機動隊に強制排除されていた。

ひろゆき氏は「辞書通りに解釈すれば、『3011日座り込み』は事実ではない」と主張。一方、抗議者側は「これも座り込みと言える」と反論していた。

辞書には、こう書かれている。

「座り込む:①どっかりと座る ②その場に座ったまま動かない。また、抗議・争議の戦術として特定の場所に座り続ける。(大辞林 第三版)」

辞書を確認した上で判断すると、「座り込みは事実ではない」とのひろゆき氏の主張は"微妙"といったところではないだろうか。24時間、あるいは早朝から日没までずっと継続して座っているほうが「座り込み」として明確なのは確かである。ただし、トラックが往来する時間帯を狙って"座り込んで"抗議をしているのは事実なわけで、それを毎日続けているなら、「3011日座り込み」との表現が間違っているとも言い切れない。

すべて言葉には「狭義」と「広義」がある。狭義で捉えれば「座り込みとは言えない」のかもしれないが、広義で捉えれば「座り込みと言える」。こうした現象について「座り込みの定義とは?」などと言い合っていても、議論は永久に平行線のままだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米7月雇用7.3万人増、予想以上に伸び鈍化 過去2

ワールド

ロシア、北朝鮮にドローン技術移転 製造も支援=ウク

ビジネス

米6月建設支出、前月比0.4%減 一戸建て住宅への

ビジネス

米シェブロン、4─6月期利益が予想上回る 生産量増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 3
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経験豊富なガイドの対応を捉えた映像が話題
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 5
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中