最新記事

人権問題

英・カナダも北京冬季五輪の外交ボイコット表明、米豪に続き

2021年12月9日(木)09時14分
北京冬季五輪のロゴ

米国が来年2月の北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を発表したことを受け、8日にはオーストラリアのほか、英国とカナダも外交ボイコットを表明した。(2021年 ロイター/Aly Song)

米国が来年2月の北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を発表したことを受け、8日にはオーストラリアのほか、英国とカナダも外交ボイコットを表明した。中国は英国の政府当局者を招待していないと反論した。

米国は6日に外交ボイコットを発表。中国による新疆ウイグル自治区などの人権侵害に抗議することが狙いとみられる。これに対し、中国側は「米国は誤った行動に対して代償を支払うことになるだろう」と応じた。

また、オーストラリアのモリソン首相は8日、北京冬季五輪に政府高官を派遣しない方針を明らかにし、米国の外交ボイコットに加わる格好となった。

こうした中、ジョンソン英首相も8日、北京冬季五輪に政府高官を派遣せず、事実上の外交ボイコットを実施すると表明。議会で英国も同様の措置を実施するのかと問われ「北京冬季五輪において事実上の外交ボイコットを実施する。閣僚や政府当局者は参加しない」とし、その上で「スポーツに関するボイコットが賢明だとは考えていないし、それが政府の方針であることに変わりはない」と述べた。

これに対し、在ロンドン中国大使館は8日、英国はオリンピック精神に反する行動を取り、北京冬季五輪の名誉を傷つけようとしていると非難。大使館の報道官は「中国政府は、英の閣僚らを北京冬季五輪に招待していない。五輪は選手とスポーツを愛する人々の集まりであり、どの国にとっても政治的な工作の道具ではない」と述べた。

また、カナダのトルドー首相も8日、記者団に対し「世界の多くのパートナー国が中国による度重なる人権侵害を著しく懸念している。カナダは北京冬季五輪にいかなる外交団も派遣しない」と表明。「カナダは何年にもわたり、(中国の)人権侵害に深い懸念を表明してきた」とし、今回の外交ボイコットは「こうした深い懸念表明の延長線上にある」と語った。

産経新聞は8日、日本政府が北京冬季五輪への閣僚の派遣を見送る方向で検討していることが分かったと報じた。

一方、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は8日のオンライン会見で「IOCは常に選手団の五輪参加に関心を向けてきた。各国政府が重視している五輪選手団への支援を歓迎する」と指摘。「これは選手団に確実性を与えることであり、これこそがIOCの目的だ」とした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中