最新記事

ブースター接種

3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備

Israel, World Leader in Booster Shots, Hit by Surge in COVID Cases

2021年9月16日(木)16時19分
サマンサ・ロック
ワクチン接種を受ける少女

イスラエルは世界に先駆け、7月末には3回目接種を始めたが Amir Cohen/REUTERS

<ブースター接種が1回で不十分だとすれば、いったい何回打てば感染を防げるのか、ワクチンは万能薬ではないのか、世界も近く問題に直面する>

新型コロナウイルスのワクチン接種で世界の先陣を切ったイスラエルは、ワクチンの効果を持続させるブースター接種(3回目の接種)にもいち早く着手した。それにもかかわらず今、感染者が急増している。

9月14日には新たな感染者数が1万730人、直近7日間の平均は1万1027人だ。

「これまでの波では存在しなかった記録だ」イスラエル保健省の新型コロナ対策を率いるナフマン・アッシュは9月14日に議会の委員会にオンラインでそう語ったと、地元メディアが伝えた。

今年6月には1日の感染者数を10数人前後まで抑え込めていたが、今は過去のピークを上回る第4波の真っ只中にある。

「1週間前には明らかな減少傾向が見られたが、ここに来て下げ止まり、Rの数字が(再び)1を上回った」と、アッシュは警告した。Rとは1人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数(Rt)のこと。1を下回れば感染は収束に向かうが、上回れば拡大を続ける。「今後より顕著に減少すると思いたいが、現時点ではその兆しは見えない」

学生フェスや巡礼で密集

イスラエル政府のコロナ対策の最高責任者サルマン・ザルカによると、9月13日の新規感染者1万556人の半数は未成年者だ。

ザルカによれば、保健省は政府に対し、大規模な集会を規制し、サッカーの試合など大観衆が集まるイベントを禁止するよう要請してきた。だが当局の警告にもかかわらず、9月初めには港湾都市エイラートで恒例の学生フェスが実施され、全土から集まった若者たちがどんちゃん騒ぎを繰り広げた。高名なラビ(ユダヤ教の聖職者)の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した。

今後もこうした大規模イベントが次々に実施されると見られる。

今月に入りザルカは4回目のワクチン接種に向けて準備を進める考えを示した。

「ウイルスが存在し、今後も存在し続ける以上、4回目の接種にも備える必要がある」と、ザルカは9月4日、公共ラジオの取材に応えて語ったが、実施時期は明らかにしなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪CPI、第1四半期は予想以上に上昇 年内利下げの

ワールド

麻生自民副総裁、トランプ氏とNYで会談 中国の課題

ビジネス

米石油・ガス業界のM&A、第1四半期は過去最高の5

ビジネス

米テスラ、メキシコ・インドの工場新設計画が不透明に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中