最新記事

国際情勢

モーリー・ロバートソンが斬る日本メディアと国際情勢

Develop a Global Mindset

2021年7月22日(木)11時35分
モーリー・ロバートソン
モーリー・ロバートソン

モーリー・ロバートソン/国際ジャーナリスト、ミュージシャン MAKOTO ISHIDA

<悪夢のグローバリズムに飲み込まれないための国際情勢の読み解き方とは――。モーリー・ロバートソンが五輪をめぐる日本の報道の「超忖度」からおすすめの海外メディア、「Z世代」が時代のカギである理由までを語り尽くす>

なぜわれわれは国際情勢を学ばなければいけないか? まず、グローバリズムが人権を尊重しない資本主義の暴走であるという前提があります。そして例えばその資本主義の搾取と民族の弾圧・虐殺が関わっている事柄はたくさんあると思うのです。

中国政府の新疆ウイグル自治区での弾圧はその最たるものです。そして日本にもその問題が降りかかってきています。強制労働で作られたウイグル綿を使っている可能性が指摘されるユニクロの製品をアメリカ政府が一部輸入差し止めにしたり、同様の理由で無印良品も国際的に批判されたりしています。

一方で中国政府の見解が正しいと言わないと製品をボイコットするぞ、という中国側の「踏み絵」のプレッシャーも企業にのしかかってきていますよね。

要するに、世界で起きていることと自分は関係しているということです。単純に日々真面目に仕事をやっていればうまくいく、という世界では決してない。どこかで誰かが不幸になっているし、その政治問題はわれわれに飛び火し、アカウンタビリティー(説明責任)を求められることにつながっていきます。

ただ、ニュースの現場に出入りしていて思うのは、日本の国内ニュースだけに囲まれていると、狭い金魚鉢の中に暮らしているようになってしまう。つまりこうした悪夢のグローバリズムが当たり前で、疑問に思ってはいけないものだというふうに世界が見えてしまうのです。

その原因は日本の国内報道が「食い込まなくなっている」ことにあると思います。権力やスポンサー、お金に以前より屈服しやすくなっている。あらかじめ忖度したり、深く報道しなかったり、「逃げの両論併記」をしたりしている。特に東京オリンピックが近くなってこれが顕在化してしまったように思います。

パンチが弱い日本メディア

IOC(国際オリンピック委員会)が大会開催を強行しようとしていることとも、資本主義の搾取の問題は重なって共鳴しているはず。でもほとんどの大手メディアがオリンピックのスポンサーや協賛企業で、ステークホルダー(利害関係者)になってしまっている。

だからオリンピックは果たしてできるのか、という議論が昨年の大会延期のときにもなかったし、新型コロナウイルスの変異株が出てきて開催が危ういかもしれない、という最近の議論にしても両論併記で中和しようとします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATO燃料網、数百キロ東へ延伸を ロシア有事に備

ワールド

ロシア、イラン指導者殺害を非難 米・イスラエル攻撃

ワールド

中国、中東での停戦仲介継続へ=外相

ビジネス

ウニクレディトCEO、コメルツ銀への提案条件改善を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 6
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 7
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中