最新記事

変異株

中国でも「二重変異株」の感染者 2億人移動の連休控え「インド航空便を止めろ」の声

China Rocked by Double Mutant COVID Strain As Nation Fears Fresh Outbreak

2021年4月30日(金)19時21分
ジョン・フェン
連休を前に鉄道駅に詰めかけたマスク姿の人々(上海、4月30日)

連休を前に鉄道駅に詰めかけたマスク姿の人々(上海、4月30日) REUTERS/Aly Song

<インドで見つかった二重変異株への警戒が強まる中国だが、間もなく2億人が移動する「労働節」が始まる>

中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)は4月29日、インドで見つかった新型コロナウイルス「二重変異株」の感染者が、中国国内でも確認されたと発表した。中国では、5月1日の「労働節」から5連休に入る。

CCDCが4月29日に北京で行った会見で、首席感染症専門家の呉尊友(Wu Zunyou)は、「インド変異株」の感染者が「国内複数の都市」で確認されたと発表した。ただし、詳細は明かされていない。この会見をきっかけにオンライン上では、5月1日からの労働節5連休中は水際対策を強化すべきだという声が多く飛び交っている。

約16カ月前に世界初の新型コロナウイルス感染者が確認された中国は、「二重変異株」である「B.1.617」による新たな感染拡大への懸念を抑え込むべく、公衆衛生対策にさらに力を入れようとしている。

呉は、国民が変異株に不安を抱くのは当然だとしたうえで、「新型コロナウイルスは、パンデミックの発生当初からずっと変異を続けている」と指摘。そして、パンデミックが終息するまで変異し続けるだろうと述べた。

「封じ込め対策を実施することが、変異株の感染拡大を止めると同時に、新たな変異を阻止するカギとなる」と呉は述べた。

呉の発表を受け、中国のメッセージアプリ「ウェイボー(微博)」では、新たに「中国の一部の都市でインド二重変異株が確認された」というハッシュタグが生まれた。記事の執筆時点では、このハッシュタグがついたメッセージが8000万回以上も閲覧されている。

中国の新規感染者は海外からの帰国者

中国の国家衛生健康委員会(NHC)によると、4月28日に中国国内で確認された新型コロナウイルス新規感染者は20人で、全員が海外からの帰国者だった。それ以外にも、無症状の感染者が14人確認されている(中国は、無症状感染者については別にカウントしている)。

28日の新規感染者のうち、11人は香港籍の貨物船「フアヤン・チャオヤン」の乗組員だ。この貨物船は、乗組員20人を乗せてインドを出発し、中国東部に位置する浙江省の寧波舟山港に入港した。

無症状者1人を含む感染者11人は全員、地元の衛生健康委員会の指示で隔離された。同委員会によると、地元住民との接触は確認されていないという。11人が感染しているウイルスが、インドの二重変異株なのか、ほかの変異株なのかは不明だ。

中国では、5月1日の祝日「労働節」から5連休が始まり、国内の旅行客は記録的な数に上る見込みだ。ほとんどが国内旅行で、5連休中は2億人以上が移動するとメディアは予想している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米北東部に寒波、国内線9000便超欠航・遅延 クリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中