最新記事

2020米大統領選

各国銀行や投資家、米大統領選のバイデン勝利を想定 トランプのコロナ感染で

2020年10月3日(土)18時35分

トランプ米大統領が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことを受け、世界の銀行や投資家は対抗馬の民主党候補バイデン氏の勝利に向け準備を進めている。写真はバイデン氏(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

トランプ米大統領が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことを受け、世界の銀行や投資家は対抗馬の民主党候補バイデン氏の勝利に向け準備を進めている。

ロイターは9月30日、大手金融機関が11月の米大統領選結果の判明が遅れ、選挙後の数日間、もしくは数週間、各国の株式や債券市場が混乱するリスクを意識し始めていると報じた。

ただ、トランプ大統領が2日未明に新型コロナに感染したとツイッターで発表。これを受け、銀行や投資家はトランプ氏の選挙活動が制限され、大統領選で勝利する可能性が低下するとの見方に急速にシフトした。

ヘラクレス・インベストメンツの最高経営責任者(CEO)、ジェームズ・マクドナルド氏は「トランプ氏のコロナ感染により、機関投資家は民主党政権の樹立と、それに伴う税制、貿易、予算への影響に備えるだろう」と指摘。「市場のボラティリティーに備え、機関投資家がポートフォリオのリスクを減らし、ヘッジを増やすと予想する」と述べた。

2日の原油や株価は、トランプ氏のコロナ感染を受けて下落した。

資本市場に携わる銀行関係者はこの日、あらゆるシナリオを想定したストレステストを実施しているとしながらも、大統領選に向けたシミュレーションの焦点をバイデン氏の勝利と、それに伴うボラティリティーやヘッジ戦略への影響に傾けていると明かした。

別の銀行員は、トランプ氏のコロナ感染は「バイデン氏が勝利する可能性を高め、訴訟などの可能性を低下させた」と述べた。

バイデン氏は2日、新型コロナ検査で陰性だったと発表した。

米大統領選挙に関するロイター/イプソスの最新全米世論調査によると、乱戦模様となった9月29日の第1回候補者討論会後も、バイデン氏はトランプ氏に対し9ポイントのリードを維持している。

メドウズ大統領首席補佐官は2日、トランプ大統領は「軽い症状」を発症しているものの、執務不能には陥っておらず、自主隔離して職務を継続していると明らかにした。

トランプ陣営は、予定していたイベントについて変更や延期をすると発表。10月15日の候補者討論会が開催されるかは不明。

一部では、トランプ氏のコロナ感染を受け、大統領選の焦点が米経済からパンデミック(世界的大流行)に戻ると指摘されている。

一方、大統領選通過後もボラティリティーの高止まりを想定する声もある。

ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントの社長兼CEO、ジェイソン・ブレイディ氏は「選挙後にボラティリティーが急低下するとは思えない。新政権への権限移譲または現政権の微調整に伴う二次的な影響が織り込まれるため、12月から来年1月にかけて市場はアップダウンするだろう」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 Newsweek Exclusive 昭和100年
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月12日/19日号(8月5日発売)は「Newsweek Exclusive 昭和100年」特集。現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン

ワールド

トランプ氏、ウクライナに合意促す 米ロ首脳会談は停
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中