最新記事

中台関係

台湾の蔡英文総統「香港の人びとに必要な援助を提供する」

2020年5月25日(月)12時55分

中国が香港への国家安全法の導入を計画していることを受け、台湾の蔡英文総統(写真)は24日、台湾は香港の人々に「必要な援助」を提供すると表明した。5月20日、台北市で撮影。(2020年 台湾総統府提供)

中国が香港への国家安全法の導入を計画していることを受け、台湾の蔡英文総統は24日、台湾は香港の人々に「必要な援助」を提供すると表明した。

香港では同日、中国の計画に抗議する数千人規模のデモが行われ、警察は催涙ガスや放水砲を使ってデモ隊の排除に当たった。昨年以降の政情混乱を受け、香港では少数ながら台湾に逃れる民主派が増加している。

蔡総統はフェイスブックへの投稿で、中国の法案は香港の自由と司法の独立に対する重大な脅威だと指摘し、自由と民主主義を求める香港市民の願いに銃弾や抑圧で対応すべきではないと非難した。

その上で「国際社会は積極的に香港市民に支援の手を差し伸べているが、台湾は一段と積極的に支援の取り組みを推し進め、香港の人々に必要な援助を提供する」と表明した。

台湾には、亡命を求める香港の活動家に適用できる難民法はないが、政治的理由で自由と安全が脅かされている香港市民を支援することは法律で約束している。

公式統計によると、2020年1─4月に香港から台湾に移住した人は2383人と、前年同期比150%増加した。

台湾の最大野党、国民党の江啓臣主席(党首)は、蔡政権は総統選のキャンペーンで香港への支援を掲げたものの、1月の再選後、意味のある支援を行っていないと批判。「香港への支援を中身のない約束で終わらせず、(香港市民の政治亡命を認める)法案に関する意見を述べるとともに、実際の行動を伴う支援をすべきだ」と述べた。

小政党「時代力量」も、蔡内閣は香港市民に「具体的な支援」を提供するため特別委員会を設置すべきとの見方を示した。

台湾では香港の抗議デモに共感する見方が強く、蔡政権がデモ参加者を支持する立場をとっていることで、中台関係はいっそう悪化している。

*内容を追加しました。

[台北 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20200526issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月26日号(5月19日発売)は「コロナ特効薬を探せ」特集。世界で30万人の命を奪った新型コロナウイルス。この闘いを制する治療薬とワクチン開発の最前線をルポ。 PLUS レムデジビル、アビガン、カレトラ......コロナに効く既存薬は?


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石油大手2社への制裁でロシアは既に減収=米財務省

ビジネス

中国COMAC、ドバイ航空ショーでC919を展示飛

ワールド

カナダ議会、カーニー政権初の予算案審議入りへ 動議

ワールド

過度な依存はリスクと小野田経済安保相、中国の渡航自
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 7
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中