最新記事

ブレグジット

イギリス上院、EU離脱関連法巡り政権の意向に反する修正案可決

2020年1月21日(火)08時56分

英議会上院は、EUから離脱するための条件などを盛り込んだ関連法案について、離脱後も英国に住むEU出身者の在留資格を保証する内容の修正案を賛成270票、反対229票の賛成多数で可決した。写真はジョンソン首相。ベルファストで13日代表撮影(2020年 ロイター)

英議会上院は20日、欧州連合(EU)から離脱するための条件などを盛り込んだ関連法案について、離脱後も英国に住むEU出身者の在留資格を保証する内容の修正案を賛成270票、反対229票の賛成多数で可決した。

議会がジョンソン首相の意向に反する動きに出たのは、首相率いる与党・保守党が圧勝した昨年12月の総選挙以降で初めて。

EU離脱関連法案は今月9日に下院を通過しており、上院で審議が行われている。保守党は上院で過半数を占めていないものの、法案通過が阻止される可能性は低い。ただ、上院は複数の修正を求めている。

可決された修正案は、ブレグジット(EU離脱)後も要件を満たしているEU出身者が、申請しなくとも自動的に在留資格を得ることを可能にする内容となっている。親EU派の自由民主党が提出していた。

また、EU出身者に物理的な在留資格認定証明書を付与することを政府に義務付けている。政府はこれまで、パスポートにリンクする「安全なデジタル証明」を付与する方針を示していた。

欧州議会で英離脱問題の責任者を務めるフェルホフスタット議員は前週、英国がEU市民に物理的な証明書を付与する可能性を検討しているとの話を英政府から聞いたと述べたが、ジョンソン氏の報道官はそのような計画は承知していないとコメントしていた。

英上院は、ジョンソン政権の意向に反する別の2件の修正案も可決。両案とも、ブレグジット後に英国内の裁判所に、EU司法裁判所の判断から逸脱する権限を与えるかどうかに関するものだ。

21日には、政権側の意向に反するさらに別の修正案の採決も予定されており、可決が見込まれている。難民の子供の保護を保証する内容で、メイ前首相が公約していたが、今回の関連法案には盛り込まれなかった。

上院が可決した修正案が成立するには、下院の承認が必要で、否決される可能性もある。

[ロンドン 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200128issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中外相が対面で初会談、「相違点の管理」で合意 協

ビジネス

ドイツ議会、540億ドル規模の企業減税可決 経済立

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中