最新記事

核戦争

米ロ核増強でよみがえる『博士の異常な愛情』の悪夢

U.S. Military Said Using Nuclear Weapons Could Have ‘Decisive Results’

2019年6月20日(木)16時52分
トム・オコナー

米ロの非難合戦がエスカレートしたのは5月29日。米国防総省情報局(DIA)のロバート・アシュリー長官が、「ロシアは(あらゆる規模の核実験を禁止する)ゼロイールド基準に沿った形では核実験禁止条約を遵守していないようだ」と発言。ロシアが1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反して、低出力の核実験を行った可能性を示唆した。

これに対し、ロシア外務省は翌30日、「全く根拠がない」と反論。「米政府こそCTBTを離脱して本格的に核実験を再開するつもりだろう。その口実を作るための発言と解釈せざるを得ない」と警告を発した。

1990年代初め以降、米ロはいずれも核実験を行っていないとみられてきた。だがワイアード誌と米NPO「センター・フォー・パブリック・インテグリティー」が19日に発表した合同報告書は、米ロが共に核爆発を伴わない臨界前地下核実験を行って、核兵器開発に必要なデータをとっている現状を詳述している。

この報告書によれば、折しも米エネルギー省は臨界前核実験の実施を3倍に増やす計画を進めている。ロシアは中国抜きでも2国間で核兵器の使用を抑制する枠組みを作るべきだと交渉を呼びかけているが、今のところトランプ政権は応じていない。

このまま歯止めが効かなければ、キューブリックの悪夢が蘇るかもしれない。

magSR190625issue-cover200.jpg
※6月25日号(6月18日発売)は「弾圧中国の限界」特集。ウイグルから香港、そして台湾へ――。強権政治を拡大し続ける共産党の落とし穴とは何か。香港デモと中国の限界に迫る。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン「地域和平にレバノン含めるべき」、停戦違反に

ビジネス

再送-米GDP確報値、第4四半期は0.5%増に下方

ビジネス

ウォーシュ氏、5月にFRB議長就任と確信=NEC委

ワールド

米、数日以内にホルムズ海峡巡る関与要請 NATO事
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 6
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 7
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 8
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 9
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中