最新記事

ブレグジット

英メイ首相、6月末までの離脱延期をEUに要請 与野党協議は平行線続く

2019年4月6日(土)11時07分

メイ英首相はトゥスク欧州連合(EU)大統領宛ての書簡で、EU離脱(ブレグジット)合意案のとりまとめに向け、離脱期限を6月30日に延期することを申し入れた。3日撮影(2019年 ロイター/Peter Nicholls)

イ英首相は5日、トゥスク欧州連合(EU)大統領宛ての書簡で、EU離脱(ブレグジット)合意案のとりまとめに向け、離脱期限を6月30日に延期することを申し入れた。

メイ首相の書簡は「英国は、離脱交渉期限を2019年6月30日とすることを提案する」としている。6月30日よりも前に離脱合意が議会の承認を得られれば、延長を打ち切る方針。

「英政府は欧州議会選挙に参加しなくてすむよう、2019年5月23日より前の離脱を目指して議会承認の日程を調整したいと考えている。しかし、それが不可能となった場合も考え、選挙参加の準備を続ける方針」とした。

こうした中、離脱を巡る与野党協議は3日目に入ったが、野党・労働党によると政府側から「実質的な変更や妥協の申し出はなかった」という。同党は声明で「議会の支持が得られ、英国が一丸となる代替案を見いだすために、われわれは首相に対し離脱案の真の変更を求める」と述べた。

これに関連し、労働党で影のEU離脱相を務めるスターマー議員は「党として協議の継続を希望する」と表明。またメイ首相の報道官は政府として真摯な提案をしており、週末も引き続き協議したいとした。

労働党のワトソン副党首は5日、離脱協定案について、関税問題でメイ首相との合意は可能だが、離脱の是非を問う国民投票の再実施が盛り込まれなければ支持しない考えを示した。

EU高官によると、トゥスクEU大統領は、来週10日のEU首脳会議で、メイ英首相に最大1年間の「柔軟な」EU離脱の延期を提案する見通し。メイ首相がこの提案を受け入れれば、英国は5月の欧州議会選挙に参加しなければならなくなる。

EU高官は「唯一の合理的な打開策は、長期間でありながら柔軟な延期となる」とした上で、「離脱合意がまとまり、英議会が承認すれば自動的に終了する1年間の延期を英に提案することが可能」と述べた。

EU側は、メイ首相が離脱延期を申し入れるならば、それ相応の理由を示す必要があると立場。

ルメール仏経済・財務相は、英離脱の1年延期の可能性について記者団から問われ「延期要請の理由が理解できなければ、前向きな回答はできない」と述べた。

仏外交筋は、最大1年の柔軟な離脱構想を「的はずれ」と批判した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中