最新記事

感染症

人間の脳を食べるアメーバに感染、米サーファーが死亡

Brain-Eating Amoeba: Surfer Dies After Visiting Texas Resort

2018年10月4日(木)17時40分
ブレンダン・コール

アメーバに感染して死亡したファブリチオ・ステイビル(29) Gofundme

<感染はまれだが、感染すれば致死率は98%だ>

米テキサス州のサーフリゾートを訪れたサーファーが、人間の脳を食べるアメーバに感染して死亡した。

ファブリチオ・ステイビル(29)は、テキサス州ウェーコの「RSRケーブルパーク・アンド・サーフリゾート」を訪れ、サーフィン用の人工波施設を利用した。

その後、自宅のあるニュージャージー州に帰り、9月21日に死亡した。「原発性アメーバ性脳髄膜炎」だった。脳を食べるアメーバ、「ネグレリア・フォーレリ」に感染していたのだ。

webs181004-amoeba01.jpg

このアメーバに感染するケースは極めてまれだ。アメリカでは1962~2016年の間に143人の感染が報告されているだけだ。ただしそのうち139人が死んだ。致死率は98%だ。感染後5日~1週間ほどして症状が出始めるが、頭痛や吐き気など最初はありふれた症状で、気づくのが遅れる。

<関連記事>「脳を食べるアメーバ」北上中?

クラウドファンディングサイト「GoFundMe」では、感染の危険性について意識を高めてもらうため、ファビリチオの名前でページが開設された。

GoFundMeのステイビルのサイトによると、サーフリゾートを訪れた後、ステイビルは頭痛が収まらず、やがて話すこともできなくなった。細菌性髄膜炎と同じ症状で、薬も効かなかった。

さらに詳しい検査をした結果、ネグレリア・フォーレリに感染していたことがわかったのだ。

ルイジアナでは水道水から

ウェーコ・マクレナン郡公衆衛生局のケリー・クライン報道官は、アメーバの発生源を突き止めるためにCDCが調査中だ、と言った。

「CDCは水のサンプルを採取して調査している。今週中には結果が出るのではないか」

CDCによれば、このアメーバに感染するのは、湖や川などの温かい淡水で泳いだり潜ったりした人。アメーバは鼻から体内に入って脳に達するので、水を飲んでも感染しない。

ニュージャージー州の地方紙はステイブルの追悼記事で、スノーボードやサーフィンなどのアウトドアが趣味で、友人や家族とも仲が良かった、と書いた。

サーフリゾートのオーナー、スチュアート・パーソンズは、9月28日に自主的にプールを閉鎖。当局の調査に協力している。

一方、ルイジアナ州ボージャー郡では9月28日、水道水からネグレリア・フォーレリが検出された。ボージャー郡から水を買っていたスライゴー水道局は、直ちに同郡からの取水を中止し、現在は井戸水を使用している。飲んでも感染しないが、水道水で鼻をすすいで感染した例もあるという。

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

利上げで経済界に一定の影響考えられる、注視したい=

ビジネス

日銀が利上げ決定、政策金利は30年ぶり高水準に 賃

ビジネス

商船三井、社長に田村専務が昇格へ 「次世代見据えた

ビジネス

ドル156円台に上昇、日銀の利上げ決定後上下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中