最新記事

アメリカ経済

トランプ、利上げするFRBを連日攻撃 その5つのポイント

2018年10月29日(月)08時43分

 10月25日、トランプ米大統領は、米連邦準備理事会(FRB)とパウエルFRB議長に対する批判を強めているが、大統領による「口撃」を巡って知っておくべき5つのポイントとは。写真は2017年11月、ホワイトハウスで議長に任命されたパウエル氏(右)とトランプ大統領(2018年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領は、米株式市場が9月に付けた過去最高値から大幅に下げた上に、中間選挙まで2週間を切ったことから、米連邦準備理事会(FRB)とパウエルFRB議長に対する批判を強めている。

トランプ氏の「口撃」の主な問題点を探った。

●トランプ氏のFRB批判の矛先

トランプ氏は、FRBの利上げペースは速すぎて、減税や規制緩和による景気刺激効果を損なっており、中国など諸外国との通商紛争による悪影響が出始める中で政権運営を難しくしていると主張している。

トランプ氏は今週の米ウォールストリート・ジャーナル紙とのインタビューでもFRB批判を展開。FRBはオバマ前政権が2期続く間は政策金利をゼロ近辺に抑え続けたのに、トランプ政権が発足すると一貫して利上げし、米国は債務の返済がきつくなっているとした。

●FRBが景気を損なっている明白な証拠の有無

利上げがいずれ米景気を冷やすのは間違いない。FRB当局者の多くは、あと2回か3回の追加利上げにより、借り入れコストの上昇によって成長が抑制され始めると見込んでいる。ただ、FRBはパウエル体制発足後に既に3回の利上げを行ったが、それでも金融の全般的な環境は緩和的で、失業率は49年ぶりの水準に下がっている。

●トランプ氏はFRBの政策に介入できるか

トランプ氏が利下げや金融緩和を支持する人物をFRB理事に指名し、FRBの体制を徐々に変えることは可能だ。しかしこれまでにトランプ氏が指名した理事はいずれも概ねパウエル議長を支持している。

トランプ氏が指名した3人のうちミシェル・ボウマン氏とネリー・リャン氏の2人は金利に関する姿勢が明確ではない。マービン・グッドフレンド氏は利上げを支持しているとの受け止め方が多い。

トランプ氏に地区連銀総裁を指名する権限はない。FRBは空席がすべて埋まれば、投票権を持つ12人のメンバーうち5人を地区連銀総裁が占める。

トランプ氏は連邦準備法に基づいてパウエル議長を解任しようとするかもしれない。ただ、他の政府機関についての過去の判例によれば、政策を巡る意見の相違は解任の「正当な理由」にならないだろう。長期を見据えるならば、議会を説得して連邦準備法を手直しし、FRB議長を容易に解任できるようにするという手はある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATOトップ、米国務長官と電話協議 北極圏安保の

ワールド

ベネズエラ、米との外交再構築を模索 米高官がカラカ

ビジネス

アトランタ連銀総裁「インフレ依然高すぎ」、FRBの

ワールド

中国外相、ソマリア訪問を延期 アフリカ歴訪中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「ならず者国家」への道なのか...トランプ、国連気候…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 8
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 9
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中