最新記事

中国海洋進出

「地球で最も幸せな国」バヌアツに中国が軍事拠点構築か? 同国政府は否定

2018年4月10日(火)17時10分

4月10日、南太平洋の島国バヌアツの外相は、同国において中国が恒久的な軍事拠点を構築する意向を示したとの一部報道を否定した。写真は会談時に握手のため歩み寄る中国の習国家主席(右)とバヌアツのキルマン首相(左)。2015年北京で撮影(2018年 ロイター)

南太平洋の島国バヌアツの外相は10日、同国において中国が恒久的な軍事拠点を構築する意向を示したとの一部報道を否定した。豪フェアファクス・メディアは10日、匿名筋の話として、両国が予備協議を開始したと報じていた。

報道によると、正式な提案はまだ行われていないが、予備協議を既に実施。オーストラリアに非常に近いバヌアツに中国の軍事拠点が設置される可能性について、豪州と米国の両政府はそれぞれ、最高レベルで話し合ったという。

これに対し、バヌアツのレゲンバヌ外相は豪放送協会(ABC)に対し「バヌアツ政府では誰も、中国の軍事拠点をわが国に置くことについて話したことはない」と否定。「わが国は中立国家だ。軍事化には関心がないし、国内にいかなる軍事拠点を置くことにも関心がない」と述べた。

ターンブル豪首相は、ブリスベンでの記者会見で「太平洋諸島や近隣諸国におけるいかなる海外軍事拠点の建設にも、強い懸念を持つだろう」と述べた。

バヌアツは豪州北部から約2000キロメートルに位置する。第二次世界大戦時は米軍の基地が置かれ、日本軍の侵攻を阻止していた。

ビショップ豪外相は10日、ABCのラジオ番組で、バヌアツの当局者からは中国による正式な提案はないとの説明を受けたと述べたが、非公式な協議があったかどうかには触れなかった。

「バヌアツ政府はそのような提案はないとしているが、中国が世界中でインフラ投資活動を展開しているのは事実だ」と語った。「バヌアツが豪州を戦略的パートナーと位置づけていると確信している」と強調した。

バヌアツのサルウェイ首相の報道官はコメントの要請に応じていない。駐オーストラリア中国大使館はコメントしなかった。

フェアファクスによると、予備協議では中国海軍の艦船がバヌアツに寄港し、燃料などの補給を受けることを可能にする初期協定が議題となっている。この協定が最終的に必要な機能を完全に備えた軍事基地につながることになる。

中国は昨年8月にアフリカ東部ジブチで海外初の海軍基地を開設している。

[シドニー 10日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港GDP、第3四半期は前年比+3.8% 予想上回

ワールド

北朝鮮の金永南・前最高人民会議常任委員長が死去、9

ワールド

高市首相、来夏に成長戦略策定へ 「危機管理投資」が

ワールド

マクロスコープ:国会本格論戦へ、立憲は消費減税で攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中