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貿易戦争

米財務長官、日本との二国間通商協定望む 貿易戦争の中国訪問も検討

2018年4月23日(月)08時01分

4月21日、ムニューシン米財務長官(写真)は、通商問題での米中の緊張が高まるなか、訪中を検討していることを明らかにした。(2018年 ロイター/Yuri Gripas)

ムニューシン米財務長官は21日、通商問題での米中の緊張が高まるなか、訪中を検討していることを明らかにした。ワシントンで開かれた国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合の合間の記者会見で述べた。

ただ訪中の時期や対中貿易で何を望むかなどに関しては言及を避けた。

IMFのラガルド専務理事は21日の記者会見で、米中間の対立などから勝者は生まれないと指摘。「国際社会として、開かれた貿易を維持し、対立があれば解決することを保証する多国間体制での取り組みを確保することが重要」と述べた。

ムニューシン財務長官はまた、同会合中に中国人民銀行(中央銀行)の易綱新総裁と会談し、中国市場の対外開放について協議したと指摘。中国が一定の市場開放を発表したことは「心強く、評価する」と述べた。

易総裁は21日、IMFの運営方針を決める国際通貨金融委員会(IMFC)に対する声明で、金融セクターの改革や開放を「精力的に」推し進め、市場へのアクセス制限を大幅に緩和し、より魅力的な投資環境を作り、知的財産の保護を強化し、輸入を積極的に拡大していくとの方針を示した。

ムニューシン長官は対日貿易に関しては、トランプ政権が二国間通商協定を望んでいるとし、日本政府と協議したと話した。

英国のハモンド財務相は20日、中国によって「知的財産が侵害されている点において米国の言うことに一理あることに疑いの余地はない」とする一方、関税の導入は貿易摩擦を解決するうえで間違った方法であると指摘。中国に対しサービス業を中心とする更なる市場開放を求めた。

日本の政府高官は匿名で、日本の貿易問題と米中間の貿易摩擦は「別問題」とし、「トランプ氏が中国の姿勢変化に資すれば、日本の利益となる余地がある」と述べた。

ムニューシン財務長官は中国に圧力をかけるために同盟国を集めようとしておらず、同様の問題を持つ他国と協議しており、「これらの問題の多くは米国特有のものではない」と話した。

[ワシントン 21日 ロイター]


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