<イタリア・シチリア島にあるヨーロッパ最大の活火山エトナは、地元の人々に脅威とともに大いなる自然の恵みを与えている>

古代ローマの時代、そこは火の神バルカンの土地だった。イタリア南部シチリア島にあるヨーロッパ最大の活火山エトナ。かつてモンジベッロと呼ばれていたその巨大な山は、人々から畏怖の対象ではなく心のよりどころとして捉えられてきた。

地中海の真ん中にそびえ立つ「優しき巨人」は、何千年も人々を魅了。2013年には世界遺産にも登録された。

斜面を時折駆け降りてくる溶岩流は、麓に暮らす人々にとっては常に大きな脅威だ。聖アガタが殉教した翌年、エトナが噴火した時に彼の遺品であるベールをかざすと溶岩流が止まったという言い伝えも残る。

だが住民にとって、溶岩は「死」よりも多くの「生」を与えてくれるもの。カターニアなど麓の町の建物は火山がもたらす上質な玄武岩で造られ、石材は世界中に輸出される。火山灰は肥沃な土地を生み、オリーブオイルやワイン、ピスタチオ、アーモンド、アンズ、モモなど多くの農作物が実る。

観光業も盛んだ。毎年150万人がエトナ火山に登り、赤く燃え盛る溶岩が雪を溶かしながら流れゆく壮大なショーを楽しんでいる。

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エトナ火山の麓には30万人以上が暮らすカターニアの町がある
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1669年の噴火で溶岩の下に埋まったカターニアの教会。一時は完全に埋没していたが、2016年から修復作業が進められている
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イースターには「悪魔の祝宴」と呼ばれる宗教行事が催される
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カターニアの考古学博物館の紀元前530年の展示物