最新記事

韓国

「トランプ歓迎会に元慰安婦」の陰に中国?

2017年11月8日(水)12時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

なお、竹島に関しては、朝鮮戦争の時に当時の李承晩(イ・スンマン)大統領がどさくさに紛れて勝手に李承晩ラインを引いて韓国領としてしまった経緯がある。それを当時のアメリカのトルーマン大統領は黙認した。だからトランプ大統領にアメリカ大統領として再確認させたい意図が文在寅にはあったのだろう。しかし、これもまた北朝鮮問題とは無関係だ。

中韓合意文書が持つ裏の意義

くり返しになるが、もう一度、「中韓合意文書」の内容を詳細に見て頂きたい。

中国外交部の2017年10月31日付の公的見解としてホームページに「中韓関係に関する意思疎通」というタイトルで載っている。以下、全文を記す。

――中韓双方は中国外交部長助理・孔鉉佑と韓国国家安全保障室第二次長・南官杓の間のチャンネル等により、朝鮮半島問題などに関して外交部門間の意思疎通が行われた。

双方は朝鮮半島の非核化に向けて、平和的に北朝鮮の核問題を解決するという原則に立って、再び全ての外交手段を通して北朝鮮核問題を解決することとする。双方は戦略的協力を一層強化する。

韓国は中国のTHAAD問題に関する立場と懸念を十分に認識し、韓国に配置されたTHAADは、その本来の配置の目的からして第三国を狙ったものでなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわないことを明らかにした。

中国は国家安全保障の立場から、韓国がTHAADシステムを配備することに反対することを再び表明した。同時に中国は韓国が表明した立場に留意し、韓国が関連問題を適切に処理することを希望した。双方は両国軍事当局の間のチャネルを通して、中国が憂慮するTHAAD関連問題に対し、話し合いを進めることで合意した。

中国はミサイル防衛(MD)システムの構築、THAAD追加配備、韓米日軍事協力などと関連し、中国政府の立場と懸念を明らかにした。韓国側はすでに韓国政府がこれまで公開している関連の立場を改めて説明した。

双方は中韓関係を重視し、双方の合意文書の精神に基づき、中韓の戦略的パートナーシップの発展を強化推進していくことを確認した。また双方は、交流・協力の強化が双方の共同利益に符合することに共感し、全ての分野での交流・協力を正常的な発展軌道に速やかに回復することに合意した。

以上が「中韓合意文書」の全文である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事、利下げ改めて主張 「インフレは低

ビジネス

インフレなおリスク、金利据え置き望ましい=米アトラ

ビジネス

トヨタ、米に今後5年で最大100億ドル追加投資へ

ワールド

ウクライナ・エネ相が辞任、司法相は職務停止 大規模
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 3
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中