最新記事

環境問題,特集プラスチック危機

ケニア、世界で最も厳しいポリ袋禁止令が施行

2017年9月6日(水)17時10分
松丸さとみ

Thomas Mukoya-REUTERS

<アフリカ全域でポリ袋が社会問題になっているが、ケニアで法的に禁止となった。製造・販売・輸入は当然ながら、使用した場合も最長で4年の禁固刑か最高4万ドル(約430万円)の罰金刑となる可能性がある>

違反は最大4年の禁固刑か約400万円の罰金刑に

8月28日から、ケニアではビニール袋(ポリ袋)が法的に禁止となった。製造・販売・輸入は当然ながら、使用した場合も最長で4年の禁固刑か最高4万ドル(約430万円)の罰金刑となる可能性があるといい、ロイターは「世界で最も厳しいポリ袋禁止令」と伝えている。

ケニア政府は今回の施行を、環境保護を目指したものとしている。

ゴミとして海に行きついたポリ袋は、餌となる魚と間違えた亀や海鳥などの海洋生物が誤飲して死亡するなどの問題になっている。

前述のロイターによると、ケニアの国連環境プログラムと協力している海洋ゴミの専門家ハビブ・エル・ハバル氏は「このような状態が続けば、2050年までには海には魚よりプラスチックの方が多くなってしまう」と警告している。エル・ハバル氏によると、ポリ袋は分解されるまでに500〜1000年かかり、魚や他の動物を通じて人間の食物連鎖にも入ってくる。ケニアの首都ナイロビで食用に殺処分された牛の胃からポリ袋20枚が見つかったこともあったという。


禁止国は40カ国以上

BBCによると今回の施行に先立ち、ケニア政府は半年間の移行期間を設けていた。しかし中にはポリ袋禁止令に反対する動きもあり、ポリ袋の製造業者らは、「8万人の雇用が失われる可能性がある」と主張して禁止令の撤廃を求めて裁判を起こしていた。しかし移行期間が終わる直前の8月25日、裁判所は訴えを退けた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、ベネズエラ石油「封鎖」に当面注力 地上攻撃の可

ビジネス

午前の日経平均は小反発、クリスマスで薄商い 値幅1

ビジネス

米当局が欠陥調査、テスラ「モデル3」の緊急ドアロッ

ワールド

米東部4州の知事、洋上風力発電事業停止の撤回求める
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中