最新記事

動物

ジャーマンシェパード2頭に1頭が安楽死 見た目重視の交配の犠牲に

2017年7月28日(金)17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

photopix-iStock

<人間好みに変形させられたシェパードの5割が歩けず殺される>

ロイヤル・ベタリナリー・カレッジ(ロンドン大学の獣医学を専門としたカレッジ)が発表した研究で、人間の好みに合わせて交配を繰り返したジャーマンシェパードの悲惨な人生が明らかになった。

オンラインジャーナル「Canine Genetics and Epidemiology(イヌの遺伝と疫学)」に研究を発表したダン・オニール博士らのチームは、イギリス全域の動物病院430カ所からデータを集めた。その結果、ジャーマンシェパードは、異常な傾斜のある背中や攻撃性、そして関節炎やガンといった病気に苦しむ割合が、他の犬種よりも多かった。生まれてきたジャーマンシェパードの2頭に1頭が歩けないので安楽死させられる。

【参考記事】垂れ耳猫のスコフォがこの世から消える!? 動物愛護団体から残酷との声

シェパードの死亡理由は、不自然なバランスの骨格のせいか、約20%が筋骨格系疾患もしくは、骨関節炎(変形性関節症)によるもの。4.7%は攻撃性が強すぎて噛むので殺さざるをえないという。

ドッグショーで高く評価されるジャーマンシェパードの条件は、後ろ脚が極端に短く、肩から尻尾にかけて異常な傾斜のあること。ブリーダーは「優れた」個体を生み出すために、このような特徴を持って生まれた個体同士を人為的に掛け合わせて繁殖を繰り返す。

オニール博士はテレグラフに対し、世間には「完璧なジャーマンシェパード」に対する間違った思い込みがあると指摘。ドッグショーで背中が傾斜しているのが良しとされると、傾斜していればいるほど良いと思ってそれを求めてしまうという。


(2016年のドッグショーで評価されたシェパードの成長記録)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、集会で経済実績アピール 物価高への不満

ワールド

小泉防衛相、中国から訓練の連絡あったと説明 「規模

ワールド

インドネシアとの貿易協定、崩壊の危機と米高官 「約

ビジネス

来年はボラティリティー高く利益上げるチャンス、資産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 9
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中