最新記事

経済制裁

北朝鮮の高麗航空、制裁強化へ対応で国内事業を多角化

2017年4月25日(火)08時24分

 4月20日、世界的な孤立を深める北朝鮮を訪れた人々によれば、朝鮮人民軍の傘下にある高麗航空は、ここ数カ月、消費者向け製品事業を本格的に拡大しているという。写真は同社機に乗り込む乗客。平壌空港で18日撮影(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

北朝鮮の平壌空港で飛行機から降りた後も、同国の航空会社「高麗航空」の名称が視野から消えることはない。高麗航空グループは、タクシー事業やガソリンスタンドだけでなく、たばこや炭酸飲料の製造まで手がけている。そのすべてに、機体と同様に、鶴が飛ぶ姿のロゴが記されている。

世界的な孤立を深める北朝鮮を訪れた人々によれば、朝鮮人民軍の傘下にある高麗航空は、ここ数カ月、消費者向け製品事業を本格的に拡大しているという。この国内向けの事業多角化が、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発を理由とする国連の経済制裁に伴い、多くの国際路線を失ったことに関連しているのかどうかは定かではない。

米国政府は核兵器の実験を続ける北朝鮮を罰するため、高麗航空本体に対する国際的な運航禁止を含め、さらに厳しい制裁措置を検討していると米当局者は語る。

だが米国が高麗航空に対してどのような措置をとろうと、他国の同調を求める拘束力を持つわけではなく、中国とロシアの協力が得られなければほとんど効果はないだろう。中ロ両国とも、北朝鮮に対する国連制裁に関して例外規定を設けることを求めてきた過去がある。

「北朝鮮について何らかの形で対処が必要であるという点で米中は合意に達しているようであり、中国が高麗航空に対する制裁に賛成する可能性は確かにある。しかし問題は、ロシアがそうした制裁に同意するかどうかだ」と中国・吉林大学のSun Xingjie准教授は語る。

北朝鮮の当局者が取材に応じることは稀であり、高麗航空からも北朝鮮政府からも、この件についてコメントを得ることはできなかった。

現在、高麗航空が運航しているのは、北京など中国の4都市とロシアのウラジオストクだけである。バンコク、クアラルンプール、クウェートへの運航は昨年停止された。ただし先月、高麗航空はピョンヤンから中国の丹東への運航を追加した。丹東は、中朝貿易における主要な中継地点である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

サハリン2のLNG調達は代替可能、JERAなどの幹

ビジネス

中国製造業PMI、10月は50.6に低下 予想も下

ビジネス

日産と英モノリス、新車開発加速へ提携延長 AI活用

ワールド

ハマス、新たに人質3人の遺体引き渡す 不安定なガザ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中