最新記事

中国経済

中国、北京の南西に新たな経済特区 習主席の後押しで期待

2017年4月14日(金)08時35分

4月12日、中国政府は北京の南西約100キロの地域に「雄安新区」を設置する計画を公表したが、これは習近平国家主席が後押しする事業で、上海や深センに続く新区になると宣伝されており、期待と興奮が高まっている。雄安新区に近い村で6日撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

中国政府は今月、北京の南西約100キロの地域に「雄安新区」を設置する計画を公表した。習近平国家主席が後押しする事業で、上海や深センに続く新区になると宣伝されており、期待と興奮が高まっている。

中国政府は新区で投機的な価格高騰を防ぐため、開発地域にある河北省雄県と安新県での不動産販売を禁止。7日には前深セン市長の許勤氏を河北省の省共産党委員会副書記に任命した。アナリストによると、同新区開発をにらんだ人事だという。

かつてはのどかな漁村だった深センは1980年に特別経済区に指定され、一大経済拠点に姿を変えた。

雄安新区の詳細が決まるのはこれからだが、面積は2000平方キロと日本の首都東京とほぼ同じ広さ。環境に配慮した都市とし、北京から「非首都機能」を移転。ハイテク産業の誘致も目指す考えだ。

中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)など30近い企業が関心を示しているが、具体的な計画の発表はまだない。

雄安新区の予定地は、雄県、安新、容城の3県にまたがり、人口は約100万人。小麦栽培のほか軽製造業が盛んで、環境汚染も深刻だ。深セン経済特別区や上海浦東新区のように大規模な経済改革が実行される見通しはなく、内陸部にあることは輸送面での弱点と言える。

不動産コンサルタント会社、ジョーンズ・ラング・ラサールの中国北部リサーチ責任者、スティーブン・マッコード氏は「市場原理に任せたなら、おそらくこの場所は選ばれなかった。しかし、中央政府が無制限に支援するなら、望むことは何でも可能だ」と話す。

雄安新区は政治的そして地理的な空白地域とも言え、多くの雇用を生み出し、中国北部の経済発展の起爆剤となる可能性も秘めている。習国家主席自身も今年2月後半に安新県を訪れていたが、そのことが明らかになったのは新区が公表された4月1日になってからだった。

モルガン・スタンレーが予想する基本シナリオでは、雄安新区の建設には毎年1330億元(193億ドル)の固定資産投資が見込まれる。これは昨年の中国全土の固定資産投資(56兆2000億元)の0.24%に相当する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中