最新記事

アメリカ政治

トランプ、駐中国大使に習近平の「旧友」を起用 対中強硬後退か

2016年12月8日(木)02時27分

12月7日、トランプ次期米大統領が駐中国大使にブランスタド米アイオワ州知事を指名したとの報道について、知事報道官はこれを否定した。写真は6日、トランプタワーのロビーで記者団と話すブランスタド氏。(2016年 ロイター/Brendan McDermid )

 トランプ次期米大統領は、駐中国大使にテリー・ブランスタド米アイオワ州知事を指名する。政権移行チーム関係者が確認した。

 アイオワ州にとって中国は主要輸出先の1つで、ブランスタド知事は中国指導部とのつながりも深い。習近平国家主席はトップに就任する9カ月前の2012年2月に同州を訪問、ブランスタド知事は習主席を「旧友」と呼ぶ間柄だ。そのため専門家の間では、ブランスタド氏の駐中国大使起用は、米中間の貿易摩擦の低減に寄与するとの見方が出ている。

 中国外務省の陸慷報道局長は、ブランスタド氏の駐中国大使指名を伝えた先のブルームバーグ報道について聞かれ、「旧友であるブランスタド氏が米中関係の発展により大きな役割を果たすことを歓迎する」とコメントした。

 知事の報道官は「報道は早計で、正確ではない」と否定していた。

 昨年の米国産農産物の対中輸出量は過去最高を記録するなど、米国では中国の商品(コモディティ)需要への依存が強まっている。こうした事情を背景に、ブランスタド氏の起用は、トランプ氏が大方の予想ほど中国に対し強硬な姿勢を取らないことを示唆しているとの見方が出ている。

 トランプ氏は先週、これまでの慣例を破り、台湾の蔡英文総統と電話で協議した。次期米大統領、または現職の米大統領が台湾のトップとこうした接触を持つのは、カーター元大統領が「一つの中国」の原則を採用した1979年以来初めてで、トランプ氏の対中政策に関し注目が集まっている。

[ワシントン 7日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ

ワールド

全米で反トランプ氏デモ、「王はいらない」 数百万人

ビジネス

アングル:中国の飲食店がシンガポールに殺到、海外展
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中