最新記事

2016米大統領選

ヒスパニックが多いフロリダ州で、トランプが逆転勝利した意味

2016年11月9日(水)15時00分
マックス・カトナー

Carlo Allegri-REUTERS

<「スイング・ステート(接戦州)」の1つフロリダ州で、トランプが事前の予測を覆して勝利。白人有権者の強固なトランプ支持が、ヒスパニック有権者の反発を凌駕した>(写真:フロリダとオハイオの勝利を喜ぶニューヨークのトランプ支持者)

 ヒスパニック(中南米系)の有権者が多いフロリダ州でも、ドナルド・トランプの躍進を止めることはできなかった。

 複数のメディア報道によると、ヒスパニックの有権者が多いためにヒラリー・クリントンが優勢と見られていたフロリダ州で、トランプが勝利して選挙人29人を獲得する見込みとなった。この結果には選挙アナリストも驚いている。

 アメリカン大学教授で人種と投票に関する著書もあるデービッド・ラブリンは、選挙前の取材で、フロリダでトランプが勝利すれば、「白人有権者を投票へと向かわせる影響力が、本当にトランプにあることを示している」と語っている。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の政治学教授マイケル・ソーヤーは、ヒスパニック有権者からの強いクリントン支持でも、「白人労働階級に広がった強固なトランプ支持」は覆せないことを意味している、と語っている。

【参考記事】「トランプ大統領」を誰より危惧するイスラム教徒の不安

 世論調査会社ピューリサーチセンターの調査によれば、8月の時点で、フロリダ州のヒスパニックの有権者の68%がクリントンを支持。トランプを支持するのは19%だけだった。州全体の有権者では、クリントン支持が41%、トランプ支持が37%だったことから、トランプのメキシコ移民などに関する発言がヒスパニックの反発を買っていたことを窺わせている。

 プエルトリコ系、ドミニカ系移民は伝統的に民主党支持者が多い(プエルトリコ系移民は最近、州内で100万人を超えた)。しかしキューバ系移民が「浮動票」になり得ると、専門家は予測していた。

 選挙人29人のフロリダ州は、長年大統領選の激戦州となってきたが、特に2000年の大統領選ではフロリダ州の僅差が勝敗を分けた。今回の投票前には、フロリダ州の選挙人29人か、またはペンシルベニア州の20人を獲得することが、トランプの勝利の前提になると見られていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中