最新記事

日比関係

来週フィリピンのドゥテルテ大統領来日 安倍首相は信頼関係築けるか

2016年10月21日(金)18時37分

10月21日、今月25日からフィリピンのドゥテルテ大統領を国賓として迎える日本にとって、中国寄りの姿勢を鮮明にした新政権をいかにつなぎとめるかが焦点となる。写真は安倍晋三首相。写真は都内で7月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 今月25日からフィリピンのドゥテルテ大統領を国賓として迎える日本にとって、中国寄りの姿勢を鮮明にした新政権をいかにつなぎとめるかが焦点となる。日本側は公式の首脳会談に加え、安倍晋三首相と同大統領の間で小規模会合の開催を計画。個人的な信頼関係を築き、南シナ海問題に対する日本の立場を伝える考えだ。

「中国に取り込まれるのは困る」

 日本とフィリピン両政府の関係者によると、日本側はごく一部の関係者に限った安倍首相とドゥテルテ大統領の会合をフィリピン側に打診。26日の公式首脳会談後に開く方向で調整中だという。

 日本政府の関係者は会合の狙いについて、首脳同士の個人的な関係を深めることと説明する。静かな環境の中で膝を突き合わせ、「南シナ海や法の支配の重要性について日本がどう考えているのか、スタンスを説明したい」と、同関係者は語る。

 ぎくしゃくしている米国との関係改善を日本が促すのは「今のタイミングでは反発される恐れがある」(同関係者)として控える見通し。米国が人権問題と批判しているドゥテルテ大統領の麻薬犯罪の取り締まりも、日本は今回の来日中に取り上げない方向だ。岸田文雄外相も大統領と小規模な夕食会を開く。

「ドゥテルテ大統領は日本には良い感情を持っているようなので、一連のイベントを通してそれを拡大させたい」と、別の日本政府関係者は言う。「フィリピンが中国と対話を進めるのは地域の安全保障にとって良いことだが、中国に取り込まれてしまうのは困る」と同関係者は話している。

 フィリピンは南シナ海のスカボロ―礁の領有権をめぐり、中国と対立している。中国が岩礁を埋め立て、軍事拠点化を図ることを懸念する米国と日本は、フィリピンの主張を支持するとともに、沿岸警察や海軍の能力向上を支援するなどしてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、ハイテク株に売り エヌビディア

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで上昇、介入警戒続く 日銀

ワールド

トランプ氏「怒り」、ウ軍がプーチン氏公邸攻撃試みと

ワールド

トランプ氏、ガザ停戦「第2段階」移行望む イスラエ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中